灰谷健次郎

島物語T / −−−

島物語U / −−−



橋本 紡

猫泥棒と木曜日のキッチン / ★★★☆☆

物凄く読み易くて飲み込み易い文章で、スラスラと読み進められたけれど
後半は簡単というか安易に思えて、良くも悪くもラノベな作品だなと思った。
主人公である17歳のみずきは父親の違う5歳の弟のコウちゃんと2人、ある日唐突に母親に捨てられる。
でも母子家庭で家事は全てみずきがこなしていたから、母親が帰って来なくなっても普通に何も変わりなく暮らす。
もう1人の主人公である健一君はコウちゃんと仲良しで、毎週木曜日にはご飯を食べにくる。
物語は轢かれた猫を庭に埋葬し続けたみずきが弱った子猫を拾ったことから、かたかたと動き出す。
死んでどろどろになった兄弟猫とか拾われた猫とのシーンは、良かったと思うけれど
猫泥棒が成功してそのままなし崩しにエンディング、は頂けないと思った。
みずきの先生への片思いとか、健一君のみずきへの片思いとか、だらしのない母親の恋愛さえも
あっさりしていてどこか爽やかなのは、凄いと思った。

メディアワークス / 2008.07.16.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。 / ★★★☆☆

2007年05月15日、再読。
やさしい、あったかい、純粋できれいなお話です。…何ていう、押し付けがましさが苦手。
初読時はそれでもそれは私が捻くれているからだろうか、とか考えたりしたけれど、再読ではちょっと、耐えられなかった。
綺麗を追いすぎて逆に歪。王道すぎるストーリーには感動どころか白ける。
オリジナリティ不足。いい話、ってこういう話だよね!って感じ。文章も稚拙。語彙も何か溜息を吐きたくなる。
ただ、モモは、キャラがいい意味で固まり切っていないと思う。その複雑さは独特ですき。彼女の台詞を脳内で料理する時、わくわくする。
ヒカリのキセキ。はあまりにもお粗末な思考の主人公に呆れたけれどラストのモノローグは、不覚にもじんときた。
あの日、空を見てた女の子。は通しでとても好み。おもちゃに囲まれて監禁。嘘が唯一の真実。洋館。アンティークなお洋服。きれい。
王道の良さも、だからあるけれど、全体として見たら、他の話に負けるかな、、

電撃文庫 / 2006.01.16.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。A / ★★★☆☆

2007年05月17日、再読。
どこか利己的な人の為主義は相変わらずだけれど水のないプール。で、少し見直した。
オチは反則な気がするけれど、水を探して宇宙を旅する魚、とかとても綺麗ですき。
やたら純粋を追うのに高校生が煙草を吸ったり、今時な口調だったりメイクするのも普通だったり。そういう所は、意外。
教科書通りでない、って意味では評価したいと思う。ちょっとオリジナリティって感じで。
それからモモの、それがあたしだから、って台詞も、開き直りが何となく心地いい。一緒に認められているような気分になるからかな。

電撃文庫 / 2006.01.23.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。B / ★★★☆☆

2巻まで買って読んで、とりあえず断念してしまったシリーズ。
図書館にあるのをたまたま見つけて、タダならいいじゃんっ、とチャレンジ。
ビー玉〜はとてもしにバラ節。うーん、青い。
けどきのうとあしたの〜で一気に見直した。びっくりした。私の知ってるしにバラじゃない!って。いい意味で。
テンポはいいし、可愛いし、良かった。ビー玉〜との繋がり方も綺麗。図書館で借りて、このまま読み進めていくのもいいかもしれない。
まだ、私には買ってもいい、とまでは感じられないけれど、やえが可愛くて、本当素敵だった。

電撃文庫 / 2006.08.25.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。C / ★★★☆☆

綺麗なんだけど、綺麗なんだろうけれど、どうしても響かない話と
在り来たりなんだけど、在り来たりなんだろうけれど、泣きたくなる話、が、あった。
やっぱり生意気にも青いとか思ってしまったりもするけど、しちがつなのか。、すきだな。コータの再登場も嬉しかった。

電撃文庫 / 2006.10.15.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。D / ★★★☆☆

何だかんだで地味に読み進めているシリーズの5作目。
相変わらずよくわからない詩的文章健在。特にしにがみのうた。〜しあわせの国のアリス。は顕著。
よくわからなくして曖昧にして深みを出そうと煙に巻いているような気が、たまに、よく、してしまう。…理解力不足かな、とも思うけれど。
おばかな状態になった時の、まぬけで空回った等身大な文章は可愛くて和やかでくすりと笑えて、相変わらずすきだった。

電撃文庫 / 2007.08.02.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。E / ★★★☆☆

もっと読解力があったなら、と思う瞬間がある。もっと作者と感性が似ていたら、とか。
そうしたらきっと面白いし素敵かもと思うような話が 、たまにある。
この巻なら灰色の街の物語の締めであろう言の花。や、花の環について。が私にとってはそんな話だった。
気に入ったのはあたしを殺してよと言う女子高生と成り行きで誘拐犯になってしまった青年の彼女の風景。
無駄な説明がないのが潔く、それが綺麗に生きていて良かった。

電撃文庫 / 2007.09.01.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。F / ★★★☆☆

メインの話が2つセットでそれオンリー、な構成がとても新鮮だった。読み応えのあるのがふたつ。
惺の傷を客観的な視点で書いている上で母親のせいだと断言したり春は善で冬は悪だと言い切ったり
読んでいて眉間に皺は、どうしても寄っちゃうみたいだ。相性が悪いのかも。
でも何となくずるずると…、ここまで来たら既刊は読破したいとか思ってしまうから困りものである。
このこどこのこ、このこねこ。のラストがとても意外で、こんな話も書くのかぁ、とか思ったら次の話に続いてた。なんだ。
いや別にバッドエンドがすきな訳じゃないが。連れ子同士の兄妹。妹は双子。で、恋。ライヴ。とか。
わがままな子をわがままと感じずに書き切ったような、印象が、あって
でもそのわがままはきっと等身大で、だけどやっぱり、いい気はしなかった、かなぁ。。
自分、が愛されないなら、その自分が作ったモノなんて愛される筈ないと私は当然のようにイコールで結ぶから、
その「せめて」はよくわからなかった。

電撃文庫 / 2007.09.11.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。G / ★★★☆☆

何だか絵がどんどん変わるなぁ、特に挿絵とゆうかイメージ絵、カラーの、と思いつつ。
居眠り姫と月曜日のキラキラ。タイトルがすき。
ストロベリぃノート。ジャマイカンに笑う。そしてリココ…香川リココ。前にも出た子だやね?おおう。
てのひら銀河。リココに続いて、マコトとトイロのその後。
金髪ハーフなでこちゃん不思議っ子仕立て、であるところのクロエが、とても可愛い。
ばーについての件で不覚にもきゅうっときてしまった。いや真面目な意味で。
そしてアンが、気になります。だから何がなんでもモモが正義!なダニエルには頷けません。彼女の背景描写、いつかやらないかなー。

電撃文庫 / 2007.09.30.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。H / ★★★☆☆

久しぶりのしにバラ。
ニノ。が冒頭からひたすら別作品のようでまず驚いた。暫くは説明なしでこれまでと全く違うやたらファンタジーな世界観で進む。
あまりのファンタジーさ故にその後の展開は想像出来たけれど新鮮で良かったと思う。ラストもちょっと珍しい感じ。
がたがたになってくニノは、痛いというより小憎らしかったけれどそのせいで珍しくモモに同情。これは収穫。
ダニエルはいつもこんな気持ちになるのかなぁ?
午後の猫。も微かにアリス的な、いつもと違った雰囲気のお話。
森の中でお茶会。パステルとセピアの間なイメージ。流れる空気が可愛くてすき。
金魚の泪。は鉄塔から紙飛行機を飛ばし続ける女の子、にどうしようもなく惹かれた。
どの話もそれぞれ違う空間で違う色がついていて楽しめた。物語よりシチュエーションやら色の付け方やらにやられた。
それから、1冊に1話のモモのお話。今回は難解だった。少しでも理解したいと思った。多分、今までで1番強く。
見えない部分が多すぎる。それはけど、上手くなったから、に思えた。

電撃文庫 / 2008.02.27.



ハセガワケイスケ

しにがみのバラッド。I / ★★★☆☆

久しぶりだったからか最初は馴染むまでに四苦八苦。
最初と最後に短く置かれた秘密の花園少女。は確か再登場な双子のトウカとキョウカの話。
双子ネタは大すきだけれど何故か萌えない。何となく双子っぽくない印象。普通に友達同士みたい。
花のゆめ。は映像研究会に所属する宝井静奈と派手な外国人のミッフィ少年の話。
死んだ猫をえいようと呼ぶことより猫を埋めた地面に平然と水を撒くことの方がゾッとした。
自主制作映画の男の子の視点を微笑ましいと思えないことといい、どうも価値観が微妙な感じに合わない話だった。
静奈が生死について自分よりミッフィの方がわかっている、って思う辺りは良かった。
世界の終わりにハミングを。は世界の終わりを願った少女とその後ろの後ろの席だったクラスメイトの少女の話。
しょーもないメモを一方的に渡される日常とその崩壊。珍しくネガティブ。
炭酸水と透明のキミへ。はお化けになったアイドルの波佐間ユカと同居することになった井ノ上コマチの話。
青山ジュンの告白後のコマチは酷いと思う…。
ユカは本気じゃなかったのか?でもくっつける為にって訳じゃないんでしょ?彼女が大人で良かったねと思ってしまった。
その流星の命は。は毎巻入っているモモとアンの話。終わりのはじまり、らしい。
ダニエルを見つけたモモがアンのところへ行くって言って、それを止めたいダニエルが止められないとわかっていながら駄々っ子する。
相変わらず独特な、ふわふわぽやぽや曖昧な文章と雰囲気だ。
それを感覚的にビビッと掴み切れない私はこのシリーズを読む時いつも何だかもどかしい。

電撃文庫 / 2009.05.15.



支倉凍砂

狼と香辛料 / ★★★☆☆

お洒落なタイトルが素敵な剣も魔法もないファンタジー第一弾。
ちら見したアニメではみっけがナチュラルに演じていたけれどホロの独特すぎる口調が文字で見ると本当に独特で味があって、良い。
想像するのは難しかったけれどみっけは凄いなぁと思いつつ、堪能した。
何より、行商人ロレンスと賢狼ホロの巧みな会話の魅せ方がとても魅力的だった。
言っている内容はたまにややこしくて難しくてよくわからなかったりしたけれど
老獪な話術を交えたやり取りと彼らの素朴な二人旅の様子は優しくて微笑ましくて癒される。
ストーリー展開は3つ星だけれど会話の描き方はそれだけで4つ星な充実度だった。

電撃文庫 / 2008.11.05.



支倉凍砂

狼と香辛料U / ★★★★☆

ホロとロレンス、羊飼いのノーラと会うの巻。可愛さと迫力で2度美味しいホロが素晴らしい。
桃の蜂蜜漬けにわくわくするホロは食い意地が張りすぎていて問答無用に愛らしいし、狼モードの怒りの迫力は本当に凄まじい。
どっちの描写もすごく生きていて且つギャップに全く違和感がない辺りさすがだと思った。
どっちもちゃんとしっかりホロで、あとがきの主人公2人の性格を忘れていたって話も簡単には信じられない。
ホロとロレンスは本当にそこにいる、っていう感じがとても濃い。狼モードのホロに対するロレンスの変化も良かった。
相変わらず商談だの何だのの持って行き方はややこしい小難しいものが多くて
お馬鹿な私はよくわからないまま読み進めることになったりも度々しているのだけれど、
ロレンスとホロの一々先回りしたやり取りは可愛くて、とても引力が強くて楽しかった。

電撃文庫 / 2008.12.11.



支倉凍砂

狼と香辛料V / ★★★★☆

ホロとロレンス、若い魚商人のアマーティと会うの巻。
アマーティがホロに惚れて、更にロレンスはホロと大きく擦れ違ってしまったりしたからさあ大変。
アマーティのイラストが若いというより子供で、若く見えると言われてはいるけれどこんなにか?と疑問符が飛んだ。
ロレンスの駄目さをそんなに駄目と思えない私はあまりにも毎度振り回されている様にちょっぴりやきもきし始めた。
ここらでホロが悪かったです、みたいな話も来て欲しいなと思うのだけれど、年齢差が凄すぎるから、難しいのかなあ…やっぱり。
でもそんな風に感じつつも結局、クライマックスの露店に袋をどす、とか、終章で体当たりに怒鳴るホロに嬉しくなって
全部まあいっか、と思えてしまった辺り、敵わないなあと思う。作品そのものがホロみたいだ。
毎回、何だか幸せになっちゃう締め方がすき。

電撃文庫 / 2008.12.14.



支倉凍砂

狼と香辛料W / ★★★☆☆

ロレンスとホロ、純朴な粉挽き少年エヴァンと無愛想な少女司祭エルサに会うの巻。
人名で締める文章とか、たまになんだかなって思う部分もあるのだけれど、基本は硬派なので許容範囲。
でも本音は、もっと硬派になってくれると嬉しい。ふいに青っぽい文章になってしまうのは何故ですか。。
村から出られずもしかしたら生贄として…、なんて展開は、ホロがいるからかヒヤリとも来なかった。
だけど物語はそれを狙っている訳じゃなく、だから無駄に危機、って見せようとする訳でもなく、つまり冷静に、展開する。
結果、すっきりと、特別なことは起こらないけれど面白さは安定している、って印象になる。この辺、スマートでカッコイイ。
エルサの愛想のなさとクライマックス手前での思い直した展開の勢いが良かった。
冒頭しょっぱなから痴話喧嘩しているロレンスとホロも今巻は安定っぷりが凄く微笑ましくて和んだ。

電撃文庫 / 2009.01.18.



支倉凍砂

狼と香辛料X / ★★★☆☆

ロレンスとホロ、ホロの伝承の残るレノスにて女商人エーブと会うの巻。
掠れた声の男前なエーブに格好良いなあと惚れ惚れする一方で、ホロとロレンスの理屈っぽいやり取りに、やきもきしたりした。
難しいこと言ってないで一緒にいればいいじゃん、とか、無神経かもしれないけれど思っちゃう。
だって別れたくないんでしょ結局!みたいな(笑)乱暴な理屈だけれど。
終盤、ホロの印象がかなり子供寄りになって、その様子が微笑ましくて可愛かった。
結局いくら長生きしていても、子供な部分もしっかり、物凄くしっかり、残っているんだなあ、って。
そしたら頭の上がらないロレンスも何だか丸ごと受け入れられる気がした。

電撃文庫 / 2009.01.27.



支倉凍砂

狼と香辛料Y / ★★★☆☆

ロレンスとホロ、真面目で素直な学生コルと出会うの巻。今回は船旅。ややこしいやり取りは相変わらず。
個人的には最近はややこしくなりすぎて本心は隠しての対話に凄く煙に巻かれている気がする。
物凄く集中して読まないと真意を掴めないというか、その物凄く集中、が中々難しいというか。失礼だよな、やっぱり。ちょっと困った…。
エーブを追うとは口だけなのか、とか、いややっぱり追うのか、とか、どうにも振り回されている。
そして相変わらず優柔不断で臆病なお2人は旅の行く末をハッキリさせずに、でも…みたいな雰囲気で
やっぱり、どこかもどかしい。荒療治に出たくなる…。ただそれらは別に不快ではないのだ。
終盤の3人なやり取りが良かった。いきなり鮮やかになって、入り易くて、コルの反応も可愛くて良かった。

電撃文庫 / 2009.02.24.



支倉凍砂

狼と香辛料Z Side Colors / ★★★★☆

シリーズ初の短編集。色々新鮮で楽しめた。
少年と少女と白い花、はロレンスと出会う前のホロの話。
世間知らずなお子様クラスとそんな彼にも最初は世間知らずと驚かれたアリエスのちいさな旅。
色んなことを知らなくて、でも一生懸命アリエスを守ろうと頑張るクラスがいじましくて
救世主みたいに現れたホロがクラス目線だと何故か無敵に見えなくて、結構ハラハラした。
過去話だから有り得ないけれど、ホロさん結構ピンチですかと思ったりした。新鮮…!
手を繋ぐ、って動作が凄く素敵に映えていて良かった。
林檎の赤、空の青、はホロの食欲とお洋服の話。
買いすぎた林檎を一生懸命食べたり、林檎を焼く、を疑ったり、晩ご飯のお話にすぐにいそいそと用意したり
冒頭の一連のホロが凶悪に可愛い。古着屋で不満そうなホロもいつもとまた違った魅力で良かった。
狼と琥珀色の憂鬱、は体調を崩してノーラに妬くホロの話。
わざとらしくなく自然で、且つ鮮やかで新鮮なホロ視点が凄く良かった。
普通の娘っ子みたいで、でも普通の娘っ子すぎないバランスが絶妙。
ホロが羊を巡ってぐるぐる、内心じたばたしている中
一筋縄ではいかない、なロレンスにはそこでそう来るの!?とどうしようかと思ったけれど、ホロが楽しそうだったから良かった。
最後にはノーラまでホロ側になっちゃう、ロレンスのあまりの間抜けさが凄すぎる。
1話目と3話目が凄くすき。新しい風、って感じでとても良かった。

電撃文庫 / 2009.03.07.



支倉凍砂

狼と香辛料[ 対立の町(上) / ★★★☆☆

シリーズ初の上下巻。噂の『狼の足の骨』を探すロレンス一行、北と南で対立する町でエーブと再会するの巻。
貝がやたら美味しそう。甘くない食べ物の描写が目立っているのがちょっと新鮮だった。
エーブとまた会ったことで最近の会うの会わないのなややこしいやり取りから抜け出したことは頭の足りない私には本当嬉しい限り。
コルが加わったことでいい感じに新しい風も入っているよう。
ホロがコルを可愛がったり、2人がじゃれたりしているのが微笑ましくてすきだった。コル坊って呼び方もいい。
ただ3人旅になったからかロレンスとホロが2人の時のベタ甘っぷりが今巻いつになく凄まじくて何か恥ずかしかった。
ばかっぷるだよどうしよう…。うわわ。
小娘扱いされているエーブがつらかったから不敵に企む彼女は応援したくなった。
そんなね、暴力夫みたいな野郎には千倍返しとかしてやればいい!
でも相変わらずよくわからなかったのだけれどそんな簡単な企みじゃないらしい。
ロレンスは罠に嵌められそう、みたいな雰囲気になっちゃって断って、だけどどうにも巻き込まれてはしまうらしい。そこで下巻へ続く。
エーブがどうしても憎めない。キーマンは完璧すぎて可愛くないし、とかつい思っちゃう。
だから協力してくれればいいのにな〜とか、ロレンスも終盤までずっと変な意味じゃなく割り切って仲良くしてたのに〜とか思っちゃう私は
この世界に商人として放り出されたら瞬殺だろうなあ…。

電撃文庫 / 2009.05.27.



支倉凍砂

狼と香辛料\ 対立の町(下) / ★★★☆☆

狼の骨の情報を集めていたロレンス一行、イッカク騒ぎの中何だかすんごい人たちの手先として動くの巻。
伝説の海獣であるところのイッカクが普通に出て来てびっくりした。
そうか剣も魔法もないけど神様はいるファンタジーだもんな。わお。
上巻より更にエーブが小娘というか女で、何かそういう弱さとか男には敵わない的な風に見えるところとかが物凄く悲しかった。
そりゃエーブも人の子だけれど、不敵で無敵で恐いもの無しな彼女がすきなんだ…。淋しいー。
男っぽく振る舞うなら徹底して欲しかった。姫は酷すぎるよ…わーん。でもコルに対しての母性はいい。むしろそれは素敵ポイント。
コルがエーブに懐いて…って程じゃないかもしれないけど気にしてくれているのも良かった。嬉しくなる。
ラスト、怯えた顔で追い出されたコルが可愛かった。

電撃文庫 / 2009.06.10.



支倉凍砂

狼と香辛料] / ★★☆☆☆

ロレンス一行、狼の骨を追ってやって来たウィンフィール王国で老練な羊飼いハスキンズと出会うの巻。
台詞の前の文章がこう言った、で終わったりするのを始め
全体的に文体の質が落ちたというか、好みじゃなくなってしまっていたのがとても残念。
やっぱり内容がややこしいのかいまいち登場人物にも物語にも入り込めなくて、お客って感じに読み終えてしまうのも自分で淋しい。
中盤で明かされたハスキンズの必死で凄まじい禁忌の真実は凄く胸に迫って一時的に復活したのだけれど
全体としては星2つで落ち着いてしまった。相性、良くないのかなあ…

電撃文庫 / 2009.08.17.



林真理子

文学少女 / ★★★☆☆

実家が田舎の小さな本屋な史子が上京してさして売れない作家になる話。
実家の本屋さんの薄暗くて埃を被っているような様子がすきになれなかった。
お客さんも本に親しんでいる人の方はあまり描写されていない印象で、読んでいて好感を持てなかった。
史子が売り物の本を隠れて一晩で読んで返す、なんてエピソードはロマンチックでもあったけれど
手に取る本が過激だったりマセていたりするものばかりのように思えたのも残念。文学少女はもっと控え目で奔放でない方が良い。
せめて何でも読むって形でそういった本以外にもしっかり触れて欲しかった。
経験がないのにあるように書けることのどこが良いのかわからない。陰気に思えてどちらかと言うと嫌悪感を覚えた。
作家業の描写もきらびやかだったりうきうきするようなものではなかったし、
地味なら地味なりに魅力のある風だったら良かったのだけれど
タイトルに惹かれて手に取ったものの思ったようなタイプの本じゃなかったみたいだ。
作家も本屋も全然特別じゃない当たり前の普通に俗な人間であり場所だっていう本だったのかな。

文藝春秋 / 2011.03.06.



ジョアン・ハリス

ショコラ / ★★★★☆

一粒のチョコレートからはじまる幸せ。とびきり美味しくて暖かな極上の寓話(ファンタジー)。折り返しより。
フランスの外れの小さな村にやって来た20代半ばのヴィアンヌと、その娘の6歳のアヌーク。
チョコレートショップを開いて、村人たちを幸せに…は勿論なのだけれど
ただの明るいファンタジーじゃなくて、暗めの背景を背負った人物が多いのが、だれずに背筋が伸びるようで良かった。
登場するお菓子はどこまでも魅力的で甘くて、でも物語はただ優しいだけじゃない。
もう1人の主人公であるレノー神父がいい味を出している。彼の口語体の文章はどこかお茶目に感じられてすきだ。
ひたすら病院の物言わぬモン・ペールに話し掛ける様子はその内容に前半は呆れたりもするのだけれど憎めない。
弱いお母さんと、強い(ように振る舞う?)娘。積もった無理がまた娘へ向かうのが物哀しい。
たまにはアヌークだって反抗する。その描写が印象的だった。
優しくて甘い香りに包まれていてロマンチックで、でも哀愁も漂って、けど変にねちっこくは、ずっとならない。
バランスがとても素敵だと思った。…ホット・チョコレートが飲みたいなぁ…。パン・オ・ショコラの朝食も素敵。

BOOK PLUS / 2007.11.24.



ジョアン・ハリス

ブラックベリー・ワイン / ★★★☆☆

主な舞台はショコラと一緒のランスクネ・スー・タンヌ村。ショコラ後のその村に逃げるようにやって来たスランプ中の作家のお話。
ショコラでは甘くて素敵なスイーツがとても鮮やかだったけれど
今回はワインと、それからチーズやハーブやパイが素朴に美味しそうに素敵に描写されている。
記憶は残念ながらあやふやだけれど見覚えのあるショコラのキャラクターも登場したりしていて何だか嬉しくなっちゃった。
主人公のジェイはしょーもない少年のような大人だけれど憎めなくていい。
ジェイの元同居人なケリーと息子を溺愛して凝り固まったミレイユには後半、眉間に皺が寄ったけれど
野良猫みたいに警戒心の塊な変わり者の隣人であるマリーズが最初はひたすらミステリアスで
段々近付くに連れて魅力的で、良かった。
マリーズの娘のローザも山羊と走り回っている様子とか、可愛くてすきだった。
かなり古くなった、旧友のジョーの作ったワインに誘われるように展開する物語は、ファンタジックで正に大人の寓話である。
少年時代のジョー老人との日々と今の日々が交互に語られて、素朴なおまじないとか農作業の描写と食べ物の描写にとても惹かれた。
完璧ないい人ばかりが出て来るとかでは決してないのに何故か幸せになるお話を書く方だなと思った。

BOOK PLUS / 2008.09.14.



樋口有介

捨て猫という名前の猫 / ★★★☆☆

元刑事の柚木草平が女子中学生の飛び下り自殺からはじまる絡まりあった事件の真相を探るミステリ。
調査のために訪ねるのは美少女に美女ばかりの青春私立探偵シリーズ、とあるけれど
それらが全く違和感なく自然に組み込まれていたのが良かった。
柚木草平のシリーズは既に何冊も出ているらしい。
この本が幾つ目のものなのかはわからないけれど、いきなり読んでも置いてきぼりにならずに済んだのも良かった。
とぼけた雰囲気に味がありまくりな柚木さんの
グータラでノー天気で美人に弱くて別居しているけれど子持ちなフリーライターっぷりがとても素敵だった。
人生は我慢だ、を哲学として一々渋い言い回しをする所もわざとらしさがなくて爽やか。
でも基本は情けない感じだったりするところがまた良い。だからって根本的には流されない風なところが更に良い。安心して見ていられる。
ワーカホリックな担当編集者の小高直海嬢とのやり取りが特にすきだった。
他が女って感じの美女揃いなだけに、綺麗な筈なのに色気がない彼女は目立っていた。
関係あるのかないのかな伏線とミスリードに翻弄されつつも
ややこしいのに物語とか文章自体は凄く飲み込み易くて厚さの割にスラスラ読めた印象。
終盤の香乃の疑惑にはふいにゾッとしたし、幻で現れた麦にはぐっと来た。

東京創元社 / 2009.09.30.



樋口有介

林檎の木の道 / ★★★☆☆

星3.5…かな。一応元カノ?な女の子が自殺して、けど他殺で、探偵ごっこなお話。
主人公は無駄にクールでけどどこかおかしな広田くん(高校生)。どんな本でもわりとよくあるけれどでも、堂々と飲酒しないで欲しい…
バナナは世界を救うが信念なそのお母さん、同性愛者なお友達、妙に存在感のある涼子(スズコと読む)とか
登場人物がそれぞれいちいち個性的で魅力的だった。
ホモ、になる科学的な根拠ははじめて知った。興味深かった、…何ていうのは、失礼、なのかな。
ちょくちょく出て来るユニークな会話が可愛くて良かった。重くなりそうな内容になっても鬱屈したところが全くなくて爽やか。
ただ、ラストは結局…あれは…そういう、こと?違うのかな。。違わないのなら、それでいいのか、何て疑問が残る。

中央公論社 / 2007.03.27.



菱田愛日

空の彼方 / ★★★☆☆

デビュー作でありながら既に同じタイトルで2巻が出ているようだけれど、そこまでのものは感じられなかった。
この巻だけでも完結しているからそういう必然性な訳でもないということで
つまりは望まれているのだろうけれど私にはよくわからなかった。
太陽の光の届かない防具屋の人形のような女主人ソラがいってらっしゃいと言った客の1人1人におかえりと言うまでの物語。
連作というよりは、メイン軸がしっかりある上で他のお客のエピソードも挟まれる、といった印象。
素朴な言葉の大事さを伝える為にしても捻りのなさすぎる描写や何より癖の強すぎる文体がつらかった。
味というにはあまりにも素人臭い気がする。登場人物たちの、格好付けているのに陳腐な言動もつらい。
文の途中に挟まれる余計な「。」にはその文の正しい意味を掴む前にまず混乱させられる。読み始めは粗が目に付きすぎた。
読み進めるうち段々中身だけを受け取れるようになったりはしたけれど、最終的に中身で帳消しに、とまでは全然いかなかった。
小さくてお人形のような、でも少女ではなく女性と描写されるソラの魅力はよくわからなかったけれど
お堅そうな癖に色惚けている軍人なマリアベルは設定的に、所詮女は、な評価の元になりそうだし苦手なのに、ちょっと面白かった。
彼女とソラのやり取りも妙な鮮やかさがあった気がする。
一番痛かったのはあとがきで、でも一番おかしかった(良い意味で)のもあとがきだった。
ツンデレ云々の件のノリがすき。著者さんは真っ当なものより面白おかしい作風の方が向いているのではとちょっと思った。

メディアワークス文庫 / 2010.09.26.



氷室冴子

海がきこえる / ★★★☆☆

アニメ絵の表紙にちょっと怯みつつ、
いつもお世話になっている図書館にある氷室さん本のハードカバーはこれの2がラストらしいってことで
1のハードカバーはなかった為、文庫を。
まず方言が鮮やかで、私はそういうのとは無縁に生きて来たから凄く眩しい。
最初はちょっと入り辛かったけど、入った後もちょっと考えないとわからないような言い回しとかあったけど、でもそれが新鮮で楽しかった。
昭和の匂い。純朴な青春。わがままでも何でも里伽子は魅力的で、冴えない杜崎拓も何故かキラキラだった。

徳間文庫 / 2007.04.26.



氷室冴子

海がきこえるU アイがあるから / ★★★☆☆

絵や武藤里伽子って名前から連想するのは、きっと小さい頃にジブリの宣伝か何かで見ただろう、印象。記憶。
大人っぽくて、ちょっと地味で、難しそう、って。
読んでみれば、今の私は拓と同年代、ってこともあって昭和な匂いはするけれどそんなに遠くは感じなかった。
ただ、まだ私はお子様らしく一番気持ちがわかる気がするのは最後まで里伽子だった。
里伽子に振り回される拓が基本なのにそっちに共感しちゃしょーがない(笑)。
でも、不倫の末にパパを取った美香さんとか、バトルは里伽子が勝って喜んだし
病院での安西おばァなんてホント、有り得ないし、拓が啖呵切ってくれてどれだけ安心したか。
だから、…だけど、津村知沙はさすがにアレだと思うけど私も問題あるのかなぁ…。。
東京に来て暫く経つのに、いろんな人との交流が後から後から来るのに擦れていない拓が、良かった。

徳間書店 / 2007.05.13.



氷室冴子

落窪物語 / ★★★☆☆

少年少女古典文学館、というシリーズらしい。冴子さん作品ってことで取り寄せて開いたら教科書のような作りでびっくり。
いちいち単語に説明がついていたり、イラスト付きで解説されていたり。
でも読み進めるうち読み物として入れるように段々なってほっとした。
平安時代に書かれたシンデレラストーリーを現代文でわかりやすく蘇らせた本である。
控え目一直線な落窪姫が前半、継母にいじめられ続けるあまり
ひたすら死んじゃいたい死んじゃいたいって繰り返すのは鬱陶しかったけれど
やさしいとかいうより卑屈じゃん…?と突っ込みつつ、落窪に仕える阿漕のやんちゃ(女の子だけど)さは可愛らしくて和んだ。
中将の、面白の駒を使った継母への復讐は利用された四の君もそうだけどそれより兵部の少輔が不憫すぎる。
顔のことで笑われて、その笑い者を婿にとらされることで復讐、とか失礼にも程があるよ王子様…
落窪が老人と無理矢理夫婦にされそうになる件も生々しくてうわぁだったけれど
向こうの企み元である北の方は潔く悪役まっしぐらなのも魅力みたいだからいいとして、…王子様……(苦笑)
お歌は難しかった。女房たちの噂話は華やかで可愛くて和んだ。

講談社 / 2008.08.10.



氷室冴子

クララ白書T / ★★★☆☆

現実の女子校の実態の噂なんて何のその、本の中の女子校って本当素敵。
あ、昔はあったのかな、あとがきによると。今もあったりするかな。何にしても、クララ的世界。
私にはマリみて的世界、の方がイメージとしてしっくり来るけれど。
マッキーの思考回路は他人な気がしません。美しいのは素晴らしきかなっ!
白路さんも良い。マッキー以上で向かう先が演劇なんてもう。そりゃ。夢見も可愛い〜。高城さん素敵〜!
しーのは、われ褒めは頂けないけど(私もやっちゃうけど…でも性格については…)
愛読書についてのプラトニックとポエムの世界ってセリフ、そうそれよそれでこそなのよ!!と熱くなってしまいました(笑)
ああ、それにしても、文化祭、演劇…素敵だ。

集英社 / 2006.09.15.



氷室冴子

クララ白書U / ★★★☆☆

少し間が空くとどうしても一部の登場人物とか忘れちゃう…。先輩相手にもタメ口使ったりするから余計わからなくなる;
でも相変わらず、可愛かった。マッキー可愛いよー。しーのもかーいらしいよー。女子校の友情って素敵だな。
ところで、長谷尾さんはあれで終わり?そこはもうちょっと書き込まれていても良かったかな。

集英社 / 2006.09.30.



氷室冴子

アグネス白書T / ★★★★☆

クララの続編、しーのの寄宿舎ライフ高校版。
初っ端から出て来る新キャラの朝衣に前半はやたら感情移入した。
ファンタジーとして見れば可愛いけれど、真面目に考えたら何ともくだらないものが溢れているから。
でもそれは女子校に限らず、学校ってそういうものだ。
しーのはどうやら光太郎がすきらしい。良かった。だってそうでもなきゃ、物凄い利用振り。悪いと思っていないのがまた…。
すれ違いがすれ違いを生む展開にヤキモキ。それにしてもやっぱり、上級生のお姉さま方の活躍は見ていて嬉しいなぁ。

集英社 / 2006.10.11.



氷室冴子

アグネス白書U / ★★★★☆

Tが朝衣と奇跡の高城さん、清らなる椿姫たる白路さん、きらめく虹子女史、なら
Uは三巻!ビバ三巻!!である。成田に対抗する様の格好いいこと!
光太郎としーのの為に一肌脱いじゃうところなんか泣けた。かなり泣けた。大すきだよぅっっ
しーのの、何ていうか、マイペースさ?逞しさ…?それお前のせいだろ、なところと
アグネスに入ってからやたら目につく「〜〜だよー。」は何だか違和感があったのだけど、
まあ伸ばしがないとキツくなってしまう訳で、けどいまいち真剣味に欠けるというか…。
ラストの締め方が意外で好感。学園ものって主人公が卒業するまで、が、よくあるパターンだと思ってたから、、
うーん、でも、それにしてもやっぱり、マッキーの入院騒動の恥ずかしさが分からない。。仕方なく、ないかね。ん??

集英社 / 2006.10.12.



氷室冴子

冴子スペシャル ガールフレンズ / ★★★☆☆

小説だと思って借りたら冴子さんのファンブック、でがくりときた。
やたら豪華でそれなりに楽しめはしたのだけれど、私って人間は基本的に作者って存在に興味がないものだから…
だから基本的に、エッセイも滅多に読まない、なスタンスになるのだ。
まずは対談、素子さんとか宝塚のスターな方とのもあってわおっ。
次にこれまでのインタビュー、イラスト、それから見せる為に書いていない為かなりむちゃくちゃな下書き。
宝塚の公演を観て興奮冷めやらず書き殴った風なニューヨーク物語ミュージカルプレイ版と
更に同タイトルでストレートプレイ版も、収録されている。
登場人物は変えずに、基本ストーリーも変えずに、でも雰囲気は結構変わっている。
どっちもラストまでは書かれていないけれどやたら書き手が楽しそうなのは伝わった気がした。
こう言っちゃ失礼だけれどちょっと微笑ましい。
それにしても、妙に自信満々なのが不思議だ。そういうのが望まれてた時代なのかな、とか別に厭味とかじゃなくて思った。

コバルト文庫 / 2008.10.25.



氷室冴子

ざ・ちぇんじ!(前編) / ★★★★☆

今更だけど、前にも書いたかもだけど、すきかも氷室さん!
平安の、京のお話で、最初は名前の読みが覚えられなかったりで苦労したけど
慣れれば京都弁も素敵で、昔の話なのに当然のような顔して出て来る外来語も不思議と違和感なく。
綺羅と帝のおばかっぷりとか綺羅姫は笑えるし、三の姫は可愛くて仕方ない。どたばた明るくて間抜けで、面白かった。

集英社 / 2006.08.27.



氷室冴子

ざ・ちぇんじ!(後編) / ★★★★☆

んもー、可愛い。可愛い可愛いっ!それだけで価値がある、感じ。
うっかりあとがきを先にちらりとぱらぱらしちゃった為某愛すべきおばかさんが最後までおばかさんだってことは知っていたのだけど
いやいや、おばかさんはそれでこそおばかさんだ(笑)
前編とは打って変わってあっちもこっちも逞しくなって、特に弟君と女東宮のやり取りが可愛くて好ましい。
それにしても、あとがきの話…、古典の先生が、古文の参考になるから読め、だなんて言うんだ。思い切り少女小説なこの作品のこと。
何だかびっくりです。その先生はかなり軟らかい頭の持ち主だったのかな。

集英社 / 2006.09.03.



氷室冴子

雑居時代T / ★★★★☆

Uをはじめて読んだ時は、最初、数子が嫌いで嫌いで仕方ない感じだったのに、今じゃ可愛い。間抜けで憎めない。
今回の清香とのシーンなんてもう清香にむきー!の連続だった。適わないのが悔しいの何の。
すっかり感情移入するのは数子さん、みたい。びっくり。
でも清香さん、中傷電話の犯人てまさか…?なんて疑っちゃった。これは本当すまん清香だ。
テンポが良くて、読みやすくて、やっぱり面白かった。

集英社 / 2006.07.27.



氷室冴子

雑居時代U / ★★★★☆

…何故いきなりUなのか。借りた時に戻って自分に聞いてみたい…。
タイルみたいな表紙が面白いなって思って手に取ったことは、しっかり覚えているのに
もう1冊くらい、似たデザインの、だから多分同じシリーズの本があったのも覚えているのに
まあそれはVとかだったかもしれないけれど、何故迷わずいきなりUなのだ。
開けばはじまる7話。気に食わないなこの女…何て思ったら17歳でびっくりした主人公。何だか賑やかでした。
7話は物凄い不快だった。そのまま返すことも考えるくらい、主人公の女の子が何から何までいけ好かなかった。
よく知りもしないで勝手なイメージで漫画家馬鹿にすんじゃないお気楽な女子高生がー!!…なんて、とりあえず自分のことは棚上げで。
けど何となく、せっかく借りたのだし、と読み進めているうちいつの間にか可愛く見えてきてまたびっくり。
元々コバルト文庫だとかで、なるほどな軽さ、軽快さ、に段々と面白く感じられるようになった。
最後まで読んだら、Tも読んでみたいかも、なんて思ってた。放り出さなくて良かった。山内パパ、雰囲気とか口調とか可愛くてすきだぁ。

集英社 / 2006.07.05.



氷室冴子

白い少女たち / ★★★☆☆

北国の女子学園を舞台に、繊細で感性ゆたかな少女たちの愛と友情を描く…らしい、が、…私にはよくわからなかった。
感性、ゆたか?繊細?うーん。。
千佳と倫子の過去の汚点の2つが似ているのは
似ているから、通じるものがあると思ったから打ち明けたことを思えば仕方のないことだけれど
その2人がメインに据えられてしまうと、何だか歪。
汚れた世界で、懸命に…って彼女たちに入り込むことは出来なかった。
そういうもの、だったのかなとは思うけれど。昔の作品だから。昭和53年の作品だもの。
登場人物の1人の名前がとても身近でドキリとしつつ。結局彼女の行方のわからないままなラストが意外だった。

コバルト文庫 / 2007.12.29.



氷室冴子

シンデレラ迷宮 / ★★★★☆

童話の世界に、ココロにしまわれた傷、逃避、淋しさ、でも光。キラキラ綺麗ででも陰気で、だけど汚くなくて、澄んでいて、真っ直ぐ。
雑居よりだいぶシリアスな可愛いファンタジーで、すっかりそのセカイの虜になっちゃった。大すき。イラストも可愛くて素敵です。
童話に出て来る悪役が、幸せなはずのヒロインが、涙の湖から抜け出せずにみんな揃って待っている。
そりゃ、悲劇のヒロイン気取り、ってやつかもしれないけれど、傷は必ずしも否定しなくちゃいけないものではないんだ、って。
そういう優しさに、溢れてる気がした。ラスト、曰く、走り出す瞬間と目指す感動。凄く感じた。久しぶりにじぃんって響いた。
キャラメルボックスの方が脚本化して、ミュージカル化したらしい。
…見たかった。かなり。あとがきの日付は93年の終わり。…さすがにもうやってない、よね…うー、残念。

集英社 / 2006.08.07.



氷室冴子

なんて素敵にジャパネスク / ★★★☆☆

中学生の頃よく名前をきいた、有名どころの平安ラブコメディである。
久しぶりに冴子さん本が読みたいなあと思い遅ればせながら手に取ってみた。
お転婆瑠璃姫と、幼馴染みの高彬と謎の鷹男の最終的には三角関係話、なのかな。
無理矢理結婚させられそうになっている瑠璃姫の無理矢理、な部分があまりにあっけらかんと酷くて
凄まじい時代だったんだなあとゾッとする。
でもそういう中でも本人たちにはそれ自体は当たり前だから、別の人と結婚を決めた後も初夜だなんだと連呼したり
なんか楽しみにしていたりなあけすけっぷり。凄まじい。生々しいシチュエーションが多くて、でもやたら明るい。
おかげで軽いし、結局どたばたしたまま1冊終わっちゃうし、ちょっと微笑ましかった。
不倫を想像してうきうきする16歳ヒロインとか新しすぎる。…いや、これ自体古い本てわかってはいるのだけれど。
個人的には、ひとつ年下で不器用で可愛い高彬よりピンチに駆けつける騎士気質で意外とおこちゃまな鷹男がすきだー。

コバルト文庫 / 2010.07.10.



平中悠一

アイム・イン・ブルー / ★★★★☆

長かった…長かったけど、読みやすかった。嫌な意味での気安さはなくて、シンプルで、けど引力の在る…
そういう描写も、違和感も何もなくて、幻想的、とかそういうことでなく、唯々綺麗。真っ白な、粉雪みたいな、山の湧水みたいな純粋さ。
すきだなぁ。男の人の世界ってこんなに綺麗なんだ、って思う。主人公は女好き(?)なのにこう言うのは間抜けだけれど。
ヴィヴィアンがやっぱり可愛いかな。麻耶もすき。平中さんの書く女の子はパワフルで繊細でか弱くて逞しくて、すきです。
あとがきの、15ヵ月かかって書いた、のすぐ後の、一晩、ないし二晩お楽しみいただけたなら、の言葉にどきっとした。
私は四晩?かかってしまったけれど。何にしても、潔いなぁ。

幻冬社 / 2006.10.04.



平中悠一

“She’s Rain” / ★★★☆☆

1983年夏、17歳だった僕の青春。
最初は稚拙な一人称の文章に中々入れなかったけれど、冒頭の読者に語り掛けるような形式から回想ぽくなって
読み手の存在が消えると、どんどん浸透するみたいに馴染んでいった。
僕ことユーイチの目線でひたすら進んで、だからユーイチの台詞は「」なし、モノローグとも半ば一体化してる。
レイコとのナチュラルなやり取りが可愛い。
普段女のコに、普通に、かあいいよと言ってしまうような奴の癖にレイコのことは女のコとして意識せずに
レイコも自分のことを男のコとして見なくていいよと思うユーイチの不器用さがすき。
やたら登場するカタカナの単語は意味のわからないものも多かったけれど
時代柄なのか何となく当時の若者っぽくて趣があって新鮮だった。

河出書房新社 / 2008.09.07.



平中悠一

僕とみづきとせつない宇宙 / ★★★★☆

ラストさえなければ絶対五つ星だと思う。
何で、いきなりあんなラストになっちゃうんだろう。嫌いとか嫌だとかじゃなくて、単純に理解が難しい。。
それまでは読みやすいしぐいぐい惹き込まれるしで凄かった。
等身大の18歳の少年(?18歳は青年…?いや、トオルは少年だよー)の一人称の文章は
入りやすくて可愛くてナチュラルで、ずっと変わらず爽やかで。みづきはみづきで凄く可愛い。乱暴なトコロも泣き虫なトコロも。
泣き方がめちゃくちゃなトコロも。可愛い。それをそのまま受け入れているトオルもいい。
凄く優しくて透き通った、きれいなお話。弱さが淋しくて切ない、周りとの差が痛い、でもきれいで爽やかなお話。
著者さんが、みづきは自分のもっとも愛したヒロインです、って言っているのにも頷ける。凄く素敵だった。
最終的に星は四つにしたけど、大すきです。

河出書房新社 / 2006.06.26.



平谷美樹

運河の果て / ★★★☆☆

二八〇八年、父母の判断により性別を自分で選べる身体を手に入れたモラトリアムと呼ばれる人たちがいたり
肥大化した脳のせいで普通の出産は不可能になっていたり、火星に移住したりしている人類の物語。
性決定のための旅に出た17歳のアニス、彼の導師になるかは保留にして、けれど共に旅する火星考古学者のトシオ、
全く別の場所でサスペンス的に人を探して動き回る女性議院のリン、のモラトリアムと元モラトリアムの3人を軸に物語は展開する。
たくさんの登場人物がそれぞれ色々こまごまと動いているから書いてある全てを把握することは難しかった。
設定の細かさが凄まじくてその点は妙にわくわくしちゃったりして良かったけれど
逆に展開は、そういった部分に対して見劣りしてしまっていたと思う。
ややこしかったし専門用語が多かったけれど、ある程度わからないまま読み進めても飽きは来なかった。
もっと余裕のある時にゆっくりじっくり読みたかったかも。
リンが上へ上へと梯子を登って行くシーンの臨場感が物凄くて
ボロボロになっていく手や指の痛々しい描写も含めて、つらかったけれど引き込まれた。
段々とメインが原火星人の問題になってしまって、アニスが特に脇から見ているだけになってしまったのは残念だった。
そうしたことから自分の道を選んだのはわかるのだけれど
アニスが性決定の旅へ出るところからはじまるのなら、彼をもう少し書き込んで欲しかった。
とか言いつつもエピローグで彼が選んだ職種には何だか嬉しくなってしまったのだけれど。

角川春樹事務所 / 2009.01.09.



平山瑞穂

プロトコル / ★★★☆☆

あとがきによる興ざめを懸念しておきながらその中で著者の一人称が僕なことにずっこけて
まさか男の人なのかと調べてみたら、そのまさかだった。とても驚いた。
名前は勿論、本の中身も女性的な気がしていたから意外だ。
父親に教わって小さな頃からアルファベットが身近だった有村ちさとは世の中に溢れたへんてこな英語に
淡々と一々もやもやしてしまう小姑のような一面を持っている。
その父親は空想の中のブラントン将軍と海外を飛び回り、ちさとは一家の大黒柱のように仕事を頑張っている。
全てにおけるちさとの冷静さから冷たさや厭味を全く感じないところがすきだった。むしろ微笑ましいくらいなのである。
26歳の仕事の出来る女であるにも関わらず、読んでいて妙に寄り添い易い。
ネット通販の大手株式会社で花守部長に命じられてちさとがした仕事が景山次長をクビに追いやり、そこから名簿の流出事件に繋がる。
勤務中にアダルトサイトばかり見ていた景山の逆恨みっぷりが半端なくて、景山視点でも交互に語られるものだから嫌悪感でつらかった。
だから男は嫌いだ、とか思ったのだけれどそれを男の人が書いたというのが不思議だ。
とぼけた味のある花守部長や景山の犯罪の片棒を担いだ沖津なんかは普通に魅力的に書かれているから
そこまで偏ったものではないのだろうけれど。
馬鹿の塊みたいな妹のももかの嘘の下手さによる愛嬌とか、コンプレックスとか
変に甘ったるくない上でしょうもない人を突き放しすぎていないような絶妙さがすきだった。
お父さんの病気についても病気だと全面に出す訳じゃなく共存しているような雰囲気が暖かくて素敵。
お父さんの書斎のボトルキャップとブランデーの一連のエピソードも良かった。

実業之日本社 / 2010.09.14.



深沢美潮

青の聖騎士伝説 / ★★☆☆☆

ファンタジー色溢れる表紙イラストに興味を持ったのだけれど、中身を確認しない取り寄せだった為、開けて軽く拍子抜け。
更に読み終えてがっくり来た。合わなかった…。
小説というよりあらすじか、ゲームのノベライズ、といった雰囲気で、紙の上の活字として読むにはつらい文章だった。
RPGのような世界観はまだしも、レベル幾つ、と小説でも語ってしまう点はあまりにも斬新で、…残念。

メディアワークス / 2008.11.27.



藤本ひとみ

見知らぬ遊戯 鑑定医シャルル / ★★★☆☆

強姦事件の解明がメインな為ちょっと生々しいような描写もどうしてもあるのだけど
でも鑑定医、の響きから連想した理科的な雰囲気がストーリー展開にも登場人物の物の考え方にもしっかり現れていて、心地好かった。
おかげで普通ありそうな不快感はとても抑えられていた。
中盤までジャンとシャルルを何故か同一人物と思い込んでいたのだけれど
それが勘違いっぽいと自覚してからも、最後の最後の真相が意外に出来ていて良かった。
ただ犯人に甘いラストには、何だかなぁ、と思ったりもする。
アニエスとシャルルが、恋愛になっても情に流されないで、どこか頭脳戦な駆け引きをしているところが可愛かった。
何かと心理学に絡めて来るところもとても興味深かった。

集英社 / 2007.08.04.



宝彩有菜

オーロラ姫と水晶の伝説 / ★★★☆☆

幸せになる為には〜と銘打った言葉集とかそういうのは捻くれ者だから苦手なのだけど、
多分そういう作者さんの、根本はそんな感じのこの本、童話要素に惹かれて読んでみた。
著者紹介の、話しているだけで心が軽くなる不思議なフツーの人、って文がちょっと何かすき。
基本は眠れる森の美女だけれど、白雪姫とか赤頭巾とかシンデレラなネタも少々。語り手はカラスのカァー助、一人称はあっし。
ご主人はマレフィセントだけどこの本の彼女は魔女の道場で動物たちに魔法を教えている通称親分。
童話のロマンチックさとは無縁で、多少ディズニー映画の1シーンが浮かぶような描写はあるけれど
語り口はまぬけで、とにかく、とてもしょーもない。でもそれが微笑ましくて、ちょっと下品なところも微笑ましくて
後半は少し幸せになる為には〜が前面に出て来すぎたり下品さがちょっと行きすぎちゃったりしたけど、全体として、可愛かった。
幸せは馬鹿馬鹿しいのがいちばんなのかなぁー。フィリップ王子がいちいちやたら理論派なのがちっちゃくて可愛かった。

PHP研究所 / 2008.06.28.



星 新一

ブランコのむこうで / −−−



inserted by FC2 system