大石英司

女神のための円舞曲 / ★★★☆☆

昭和の時代に平成の年号を予知してずっと未来のコンサートのホールの予約をした母親の娘が
それに沿うように、市民オーケストラのコンサートを開こうと奔走しつつ枝分かれした1つ1つのピースが繋がる奇蹟に立ち会う話。
主人公の音々は中学校教員だからもう少し学生主体の話になるかと予想していたのだけれど、
ブラスバンド部のOBとか元国会議員とか刑事さんとか入り乱れて結果として市民、な一括り感が新鮮だった。
全体に満遍なく描かれているけれど特に目立つのは、筋ジストロフィー患者の光雄とシャコンヌの乙女と言われた冴子だろうか。
後者は特に褒められたキャラクターでないのにヴァイオリンと月夜の似合う鮮やかな人で惹かれた。
でもその分ラストの締め方は少し不満だった。罪は罪なのに何故そんな皆さん優しい…。
危険の迫った人間が色でわかる音々の死亡フラグが立つって言葉もあまりにそのまま不謹慎すぎて引っ掛かった。
でもそれはそのまま見つめていないからでもあるのかな。変に奉っている感じというか。
全体に淡々としていたから盛り上がりとかには欠けたと思う。
登場人物も若干多く感じたし、音々が首を突っ込む割に覚悟が足りない自分本位な口振りなことも印象が良くなかった。
すごく教師らしいとは思ったけれど。
でも変に色のついていないあっさりとした作風な分、感じる嫌悪は極力抑えられていたし
それ自体は淡泊で嫌いじゃなかったかもしれない。

中央公論新社 / 2009.10.26.



大崎 梢

スノーフレーク / ★★★☆☆

死んでしまった筈の幼馴染みの男の子が成長したらこんなといったような風貌の青年と出会い
その上彼とは別に幼馴染みの姿を遠目に目撃したり
その幼なじみの彼からのメッセージのようなものをあちこちで見るようになって混乱する、高校3年生の真乃の物語。
ホラーではなくミステリだけれど、ふいに怖いというかぞわぞわするって言ったら言い過ぎなのだけれどそういう雰囲気になったりしたし
紹介にある心温まる、って文より不可思議とかの方が私的にはしっくり来る気がした。
ハヤちゃんなんだから怖くない、っていう真乃はわからなくもないけれど、理屈じゃなく大丈夫って思える説得力には欠けた。
舞台が函館ならではの良さがいまいち感じられなかったけれど雪の花とか花屋の描写はちょっぴり惹かれるものがあった。
真乃の友達の琴美とシーコもいい味。喫茶店がとても素敵だった。

角川書店 / 2009.09.05.



大沢在昌

らんぼう / ★★★☆☆

凸凹刑事コンビの全10篇の短編集。長身なウラと小柄なイケの共通点はキレやすく凶暴なことである。
前に別の本で同シリーズの短編を1つ読んでそれの印象が良かった為手に取るに至ったのだけれど
何作も読むには2人の凶暴さが洒落にならなすぎた。
相手がやくざだったり暴走族だったり薬中だったりな野郎ばかりだからって、容赦ないにも程がある、な描写で若干引き気味。
顔とか喉とかそんなドカドカ蹴らないで欲しい…。
大抵幾つか重なる事件は最初は細切れに感じたけれど段々慣れた。入院先で知り合うイケとアキト少年の話が可愛くてすき。
人の良すぎるおかまさんの話とかあまりにも考えの足りない小娘の話とかも嫌いじゃなかった。
解説漫画ではハードボイルドとか言われているけれど個人的にかっこよさは感じられなかった。
ただやくざとか以外の毎回のゲストキャラがさり気なく結構濃くてしょーもない中に微かな親近感を魅せていて好印象だった。

新潮文庫 / 2009.03.14.



大島真寿美

青いリボン / ★★★☆☆

大きめの文字と易しい文章で、気付けば短時間で一気読みしていた。
優しい、けれどあっさりした、お話。高校生の依子が、友達の梢の家に居候するお話。
離婚調停中の両親。父親は福岡、これまでは母親と一緒に暮らしていたけれど、
その母親が今回仕事で上海へ行ってしまった為依子は梢の家でお世話になる。
父親と久しぶりに会う一連のシーンが凄く苦くて、思わず自分を重ねた。
依子が父親に言った言葉、口から出任せで言ったわりには自分の言葉に酔ってしまって、
昔とても辛い子供が私の中にいたような気がした…って、でもさっさと離婚して、なんて叫ぶみたいに。リアル、だなぁと思う。
離婚なんて別に珍しくもないし、可哀相、何て言う程のものじゃない。でも微妙な苦さは確かにそこに存在している。
梢の家が理想的な訳じゃない。梢の方が幸せだとかそういうことじゃない。それは、何となくわかる。じゃあみんな、苦い、のかな。。
お話が良かったとか泣けたとか面白かったとかじゃなくて、そのリアルさが近さが、何か、胸に染みた。

理論社 / 2007.03.29.



大島真寿美

宙の家 / ★★★★☆

図書館で、何となく目に入って、ちょっと気になって、手に取って、開く。透けた紙、浮いた文字、グレー。何となく借りる。
それを家に帰って読んで、あ、いいかも、って思う瞬間。幸福の訪れる瞬間。…なんちゃて。
理屈より感覚で惹かれて、それが当たりだった時の幸せったらないです。
表題作はまずカトリックの女子高にマリみてを、ぼけ始めたおばあちゃんにエンジェル×3を連想して、入りやすかった。
掴みはOK。そのままぐいぐい読み進めた。
母親に自分の母が重なって、そう感じる自分をちょっと嫌悪…。わわーって読めたけど、だからこそラストが不満。。
唐突で、いきなり放り出されたようでしっくり来なかった。でもそれまでの流れはすき。
も1個は違う話と思ってたら続編で、これも何かぼんやりしてるのに澄み切ってて良かった。
粉末ソーダの件がキラキラ、さらさら、暑い中氷が鳴る。綺麗。和室、おばあちゃん、仏壇。大して馴染みはないのに懐かしい、匂い。
風鈴が鳴る。蝉が鳴く。夏の空気。文章に泳ぐの、久しぶりかも。

集英社 / 2006.04.21.



大島真寿美

虹色天気雨 / ★★★★☆

度々登場する、ずるずるぐだぐだした文章が妙に魅力的。
いちいち長々としているのに、例えば、〜だが〜だが、みたいに、文法として違和感を覚えるようなぐだぐださでは決してないから
その、絶妙な間抜けさがしっかりと長所になっていた。
旦那様に失踪された奈津の、まだ小学生の娘の美月を半ば強引に預かることになったところから、
預かった市子さんを主人公に昔馴染の面々を絡めつつ、何となくふわんとした雰囲気で進む。
どこにでも転がっていそうな普通の雰囲気の中、起こっていることはそんなほのぼのしたものではなくて
なのに殺伐とはしていなくて、和んだ。
パパは失踪中だけどママのお友達がいっぱい来てはしゃぎまくる、がしかし自分の娯楽で、な運動会だとか
市子さんと美月のやたら対等なやり取りだとか、いいな。
けど1ヶ所だけ、子供は親を選べないから仕方ない、って、まりと市子さんの発言にだけは、頷けない。
だって失踪。仕方ないで済んでいい筈がない。そんな風に言われるしかない美月が可哀相だった。
…なんて、私が思っちゃ不純でしかないかもしれないけれど。
飛行機の中での、ふいに地面はずっと下にあるんだ、と実感するシーンが印象的だった。
私は飛行機、乗ったことないのに、妙に分かった気がしてしまった。不思議な描写力。
特別なところは別に感じられなかったのに、妙に、しっくり来る本だった。

小学館 / 2007.03.17.



大島真寿美

羽の音 / ★★★☆☆

1999年12月1日から31日までの、毎日の記録。
だからって淡々とし過ぎてるとかそういうこともなく、けど私の気分がアレだったのか間がすっぽり抜けてる。
何て失礼な、何て勿体ない、でも全然入って来なくてどんどん流れて行っちゃってどうしようもなかった。
本当なら日を置きたいところだけど、図書館の本だからそうもいかないし
それでも足掻いて読みかけては2・3日分でやめる、を繰り返してたら余計に最初のそこそこ読めてた部分まで
消えかけるし細切れだしで、何だかなぁです。切ない。悔しい。多分問題は私にあったと思う。悔しい。
最初の数ページはイラストになってて、それが不気味ででも色合いは不思議で独特で何だか気になります。ふにくり…きいてみたいな。

理論社 / 2006.05.04.



大島真寿美

水の繭 / ★★★☆☆

両親が離婚して、お母さんはとうこの双子の弟を連れて出て行った。
最初は祖母とお父さんと暮らしていたけれど、祖母はそのうち元のお家に戻ったから二人暮らしになって
でもその父親が死んで、家出常習犯の瑠璃が転がり込んで来た。
二十歳のとうこと2歳下の瑠璃と、瑠璃が自分の場所としていた空き家に越して来た、息子を亡くした遊子さんと茂さん。
身近に死を置きながらも淡々と透明に展開するストーリーはあっさりしすぎてすり抜けて行っちゃった。
幽霊じゃなくてでも息子が見えるって遊子さんがこの本の中ではちょっと異端。要っぽいのに不思議だけれど。
クライマックスがよくわからなかった。安易…なのだろうか。陸は陸でありとうこなんだ、って悪夢のシーンがすごくすき。
お母さんの為に自分の為に、ずっとそうして来たって言う陸のボロボロさが、あっさりと書かれているのに迫って良かった。
猫のドラに妙に存在感があったのが印象的だった。特に何でもないキャラなのに、…セージと関係あったのかな。

角川書店 / 2008.08.13.



大島真寿美

やがて目覚めない朝が来る / ★★★☆☆

元女優で父方の祖母である蕗さんの洋館へ、両親の離婚をきっかけに母親と移り住んだ有加の
幼少期から結婚して離婚して再婚するまでの物語。
お父さんはもういないけれどお父さんのお母さんの元で極々自然に暮らす2人とか
周りの友達な大人たちのとても自然にそこに在る、な空気感とか
全体が優しいとは少し違う、でも優しさとしか言い様のないようなものに包まれていて、読んでいてとても満たされた気持ちになった。
一部の大人が子供の有加に語る自分の話は、自分の整理の為に人を使うなよって気分にもなったけれど
例えば結局のところ父親を赦している有加とか、のぶちゃんとかの在り様は
ファンタジーだと感じると同時にすごく柔らかい良いものに思えたりもした。
大人らしくない、でもしっかり大人である人たちに囲まれて育つ幼少期の有加が、リアルではなくても、綺麗で優しくてすきだった。
だから多分癒しの物語。派手好きで独特なミラさんが鮮やかですき。

ポプラ社 / 2009.10.29.



小川洋子

海 / ★★★☆☆

妙なリアルさが独特の色を以てそこかしこに在って、それが、リアル、なのに、多少違和感を覚えるくらいの存在感を放っていた。
拘り、とか、個性、なのかな。
衛生監察官にホイッスルの湿り気、タイプライターから欠ける活字やそれを説明する為の単語の選び方に、生卵…
わざわざどうしてリアルに美しくないものを選ぶのかなぁと私はどうにも思ってしまった。
全7話の短編集。風薫るウィーンの旅六日間とガイドは純粋にほのぼのしていて良かった。
生卵は頂けないけれどまあ許容範囲内ってことでひよこトラックも可愛くてすき。
美化しないお話を、文章を言葉を、書く人だと思った。人間の内面というよりは、どこか理科的な。
だから、好みはしないけれど文章が嫌だとか反発したくなる感じではない為、星3つ。

新潮社 / 2007.03.24.



小川洋子

完璧な病室 / ★★★☆☆

青白くて冷たい、無機質なものを追って、けどどうしたって有機物は排他出来なくて、気持ち悪いくらいのリアルと、病的な程の清さ。
後者を選びたくなる。
表題作は、食べることへの抵抗とか嫌悪感とかわかるような気がした。
もう一つの揚羽蝶〜は微妙に、近い…て程じゃないけれど、そんなに遠くもない、話で、どっちも切ない。
主人公はひたすら寂しくて切なかった。

福武書店 / 2006.10.18.



小川洋子

刺繍する少女 / ★★★☆☆

刺繍、少女、表紙のアリス風クロスステッチ。そこに生まれた雰囲気に引き寄せられた。全10作のオムニバスで、内容はばらばら。
色んな職業の人の話、が近いかな。例外もいるけど。流れる空気がさらさらしていてとても綺麗だった。
表題作はクロスステッチが懐かしい。小学生の頃、夏休みの自由研究でうさぎの刺繍のバッグを作ったのを思い出した。
森の奥で燃えるもの、は独特で少し似たニオイを感じた。美少女コンテスト、第三火曜日の発作、もすき。
ケーキのかけら、にはいけないと思う一方で憧れる。甘美な誘惑。何も特別ではなくて、ナチュラルな空気。しっくりしっとり。呼応した。

角川書店 / 2006.09.17.



小川洋子

沈黙博物館 / ★★★☆☆

まだ何冊も読んだ訳じゃないけれど、小川さんの本には独特な空気が流れていると思う。
掴み所の難しい、でも確かな主張を感じる。女性作家さんぽくないなとよく思う。
綺麗な描写はとことん綺麗で華やかだったり厳かだったり素朴にファンタジックだったりするのに
同じトーンで、不気味だったり苦々しかったり気迫に満ちたものも、描かれていて
そのギャップが無理なく収まってしまっているのが凄く不思議。
物語は、小さな村に博物館技師が面接を受けに来た所から始まる。
雇主はひねくれて気難しい老婆、助手は老婆の娘の少女、それから庭師と家政婦さんが色々協力してくれる。
どの登場人物の名前もひたすらずっと出て来なくて、そこも記号的で面白いなと思った。
作るのは、老婆の集めて来た、村で亡くなった人たちの形見コレクションの博物館。
個人的には、卵細工とか修道院とかビー玉や何かの可愛らしいイメージの形見とか、暦とか
そういう綺麗なものばかり追っていたいと思いつつ
後半メイン軸になってしまった異様な殺人事件はともかく、絵具の形見の物語の気迫は、凄まじかったけれど嫌いじゃなかった。
刑事の2人はとても気に入らなかったけれど、その分シンクロするみたいに引力が強かったから良し。
気分が悪くなりそうなくらい生々しい理科的な描写さえなければもっと取っ付き易いと思うけれど
それがなかったら、小川さんじゃないのかなー。

筑摩書房 / 2008.02.14.



荻原規子

樹上のゆりかご / ★★★★★

すきな作家、に荻原さんが仲間入りしそう。
昔読んだ勾玉三部作はよく飲み込めなかったのに。頭が足りなかったのかなぁ。あれ児童文学なはずなのだけど。
荻原さんと言えば私の中じゃ西の善き魔女だけれど、これは学園物だからかマリみてに雰囲気が近い気がした。
主になってる女の子3人がそれぞれいい具合に引き立て合ってて良い。特に有理さんがすきだ。
悪役…って言うとあれだけど、そういう役には哀愁がある、みたいな解釈をふと思い出した。
有理さんはそれが凄く綺麗に浮かび上がっていて、その解釈に見合う、本当に素敵な真の敵役だと思った。
ラストはちょっと残念だけれど、サロメの解釈とか演技とか、魅惑的で素敵。
例によって、マザーグースもそうだけど、特にサロメ、読んでみたくなりました。
そうやって昔ながらの(?)文学だとかを引用したり比喩に使うの、知的ですきです。

理論社 / 2006.05.21.



荻原規子

これは王国のかぎ / ★★★☆☆

前半は星4つ、後半は星3つ。
物語は千夜一夜物語(アラビアンナイト)モチーフ、章タイトルはリムスキー=コルサコフの交響組曲シェエラザードから。
それだけで何だか煌びやかな満天の星空が浮かんでうっとり。
15歳の上田ひろみはつい最近失恋したばかりで傷心中。
その彼女が部屋でうとうとしているうちに、いきなりアラビアンナイトの世界へ飛んでしまって、なストーリー。
可愛らしい児童文学(だよね?)。
魔神族(ジン)として壷から出て来て、豪快で陽気なハールーンに出会い、ジャニって名前を貰って
僧院の修行者なのに笑い上戸なラシードを助けて、お世話したり。喧嘩したりしつつも、一緒に旅する。
文章は読み易いし、かつ物語もとても魅力的、だったけれど後半は少しだれてしまった。
かぎを見つけて扉を開けた先の展開はとてもすきだったけれど、ラストはちょっと物足りなかった。
千夜一夜物語は実は読んだことがなかったりする。
多分中の物語を幾つかは知っているけれど、童話、って形であって古典ではないし元の作品をとても読んでみたくなった。
それからシェエラザードも、凄くきいてみたい。クラシックの物語風タイトルな楽曲はそれだけで心踊ります。

理論社 / 2008.01.17.



荻原規子

空色勾玉 / ★★★★☆

再読。初読日は不明。中学生の頃、だったかな。少なくとも2度は借りている筈で、なのに見事に覚えていない自分に呆れている。何故?
中学生の私には微妙に難しかったのは記憶している。内容はわかりやすい筈なのに…。多分、文章が難しかったのだと思う。
文字数多いし、この歳になっても最初は取っ付きにくさを感じたから。
所々記憶にあったのは、冒頭の鬼(怖かったんだ…)と奈津女の名前。一種のデジャブみたいだった。
それから稚羽矢は男の子と記憶していたのに少女とか出て来てびっくりした…。驚かすなよもう。心臓に悪いったら。
初読から大分時が過ぎて、児童文学を嬉々として読む歳は越えてしまったかもしれないけれど
上質のファンタジーはやっぱり歳とか関係ないと思う。
ラストは甘ったるいけれどでも充分、かなり、楽しめた。中学生の頃より、かもしれない何て、ちょっと遅い感じだけれど。
裏に見える大人の策略に、あっちもこっちもと早く狭也は稚羽矢と逃げちゃえばいいよ何て前半は思ったりもしたけれど
おばあちゃん、と泣きたくなっては、照日が恐ろしい一方で魅力的で、全体に溢れるそれは大きな優しさ、って奴だよなぁと思ったりした。

徳間書店 / 2006.11.13.



荻原規子

白鳥異伝 / ★★★★☆

これも再読。の筈。初読は中学生の頃、一度…かな。空色〜より更に記憶は曖昧で、覚えがあるのは幾つかの土地の名前くらい。
厚い本だし、難しかったのかな…。。途中挫折はこの次の薄紅〜のみ、と記憶しているけれど。
相変わらずラストは嬉しいけど甘さを感じてしまう。
でもそれ以外の点は、空色〜で準備も整っていた感じで入りやすかったし良かった。
岩姫が復活(?)していてびっくり…。あの人蘇りの力狭也に渡したのじゃなかったっけ…?あり?記憶違い??
これだから図書館の本はいけない。とにかく、長かったけど面白かった!

徳間書店 / 2006.11.25.



荻原規子

薄紅天女 / ★★★★☆

初読…となるのかな。最後まで読めたのはこれがはじめて。
やっとまともに読めるようになって、めでたく勾玉三部作、完読。
今まではそういうの、なかったけれど、今回は平安、だっけ?てことで、坂上田村麻呂に衛門佐にアテルイ、と見覚えのある名前が並ぶ。
チキサニにも微妙に覚えが…あるような。ないような。私は歴史とか大して明るくないけれど、何となくどきどき。
衛門佐さまな仲成さまなんてもう、はぐれるまでとか素敵すぎる。その分、その後の展開は痛かったけれど…ラストがあるもの。
前2作に対して、今回は前半のメインが少年2人だから何となく、複雑に思わないこともなかったけれど
苑上の登場で入りやすくなったりしつつ楽しめた。賀美野可愛いよー。チキサニの話の部分も入りやすかった。引力凄かった。
ラストの1ページが痛い。田村麻呂が…アテルイが…。。
薬子の部分はぼやけているから気になるところ。歴史の教科書とかに載っているのかな。
ともあれ、三部作の中で1番歴史に忠実な匂いのする今回のお話も分厚かったけれど、楽しめました!

徳間書店 / 2006.12.09.



荻原規子

西の善き魔女T セラフィールドの少女 / ★★★★☆

2006年10月23日、再読。
やっぱり良いですっ!
普通の女の子なフィリエルには、ルーンがさらわれた時の無力さをはじめとして共感出来るし
ちょっとん??って思うとこもその後の頑張りで帳消し。ユーシスのキャラも立っていて親近感とかもあったりして素敵だぁ。
ルーンが受けた仕打ちの描写が痛々しくて、過剰に執拗に描かれている訳じゃないのにむしろさらっと終わるのに凄く訴えて来て
印象に色濃く残ってる。まだまだ序章だけれど、さり気なく出て来たレアンドラの名前にトキメキ。
ちらちら出て来るだけなのに相変わらず凄い存在感。さすが!ユーシスとのエピソードがお気に入りです(笑)

中公文庫 / 2006.01.22.



荻原規子

西の善き魔女U 秘密の花園 / −−−

西の善き魔女V 薔薇の名前 / −−−

西の善き魔女W 世界のかなたの森 / −−−

西の善き魔女X 銀の鳥プラチナの鳥 / −−−

西の善き魔女Y 闇の左手 / −−−



荻原規子

西の善き魔女Z 金の糸紡げば / ★★★★☆

久々西の善き魔女。懐かしい。やっぱりすきだぁ!
フィリエルが8歳の頃の外伝。秋、冬、春、のお話は微笑ましくて、もめたりしても微笑ましくて、暖かい。
夏の話はサブタイ通り嵐みたいで、一瞬驚く。
8歳のフィリエルの思い詰めようも、まだ8歳なのに、痛々しくて
けど今私が思う程8歳の私は子供気分ではなかったからそんな風に、自然なのかもしれない。
ケンカしても、強く憎んでも、絆…って、ああいう風に育むのかな。
博士に振り向いて欲しくてぐちゃぐちゃに掻き回されるフィリエルに共鳴する。断章の愛を理解する日が、いつか私にも来るのかなぁ。。

中公文庫 / 2006.04.28.



荻原規子

西の善き魔女[ 真昼の星迷走 / ★★★★★

特にぶっ飛んではないけれど、何となく、五つ星をあげたい。何となくって大事。理屈じゃなくてすきだって思ったのだもの。
元々は外伝てなってたらしいけど、完結、だしやっぱり本編だと思う。
アデイルメインの元々外伝だったお話だってここへ来て少し触れてる。全部繋ってる。
ルーンに影がさした時、そんなのものともせずに吹き飛ばしちゃうフィリエルがちょっとおばかでまぬけで、強くて、すきだ。
フィリエル側のバードも可愛くてすき。レアンドラの活躍も素敵だった。
可愛くてかっこよくて何気にちょっとおかしくて(笑)ほんとレアンドラ大すき!!
彼女の言うフィリエルが、私にとってのこのシリーズに近い気がした。したたかだとか、なりふりかまわないとか。
でも愛しい。本来嫌いそうなのに、ね。不思議と素直にすきだと思えて、それが悔しかったりもここまで来ちゃうと無く。
ああ、この本に、このシリーズに出逢えて幸せだと、只、噛み締める。

中公文庫 / 2006.05.15.



越智月子

BE-TWINS / ★★★☆☆

双子の姉妹に挟まれた女の子の主張する三角がいっぱいな絵のような話。
中学1年生の子供体型な文子はシスターやら校長さまに疑問を抱きつつ、色々なことにイヤだイヤだと思いながら日々を過ごしている。
心の内で方言のままになんばエラそうにしとうとや、とか思っているうちは、まだ厭味もなかったけれど
ずっとその調子で、そのうち七美にも夕美にも嫉妬し始めて、次第に鬱陶しくなってしまった。女の子の嫌なところを詰め込んだみたい。
七美は可愛かった。星の王子様の助っ人お芝居をきっかけにちやほやされていてもそこまでやな感じじゃなかった。
むしろ文子の感じ方の問題なのじゃないかと思った。
夕美は愛しかった。七美には話を作っているとか言われていたけれど憎めない。
ラストの姉妹喧嘩もバカバカしくて阿呆らしくてもう双子の話で良かったのじゃないのって思っちゃった。
ちょっぴりしか出て来ないのに妙に存在感のある綾乃おねーさまが気になったから、七美と綾乃おねーさまがメインでも良かったかも。
ひたすら憧れちゃってる七美はとても可愛かったし。
ちょっと昔っぽい女学院の雰囲気とかペチコートに拘るところとか御メダイって小道具とかは素敵だったし
そもそもキラキラふわふわしたお話として書かれた訳じゃなくて、どっか苦味のあるのが味なのかもしれないけれど
主人公の文子のキャラが何だか勿体ない気がしてならなかった。

小学館 / 2009.04.28.



乙一

失はれる物語 / ★★★★☆

乙一さんの本は、文庫を1冊だけ持っているけれど、それをはじめて読んだ時より楽しめた気がする。
失はれる〜は何度読んでもきゅうって痛くなるし、初読ものもどれも甲乙つけがたい、感じ。
Calling〜は淋しくて、傷は優しくて、しあわせは〜の幽霊さんの感じとか、凄くすき。
マリア〜は意外だった。後半は読みながら眉間に皺が寄りまくった。いい意味で。つまりは入り込んだということ。
手を握る〜は一度でいいかな。私にとっては何度も、ってタイプのお話じゃない。
ともあれ、初読の4作がどれも良かったから、満足だ。

角川書店 / 2006.11.30.



乙一

GOTH リストカット事件 / ★★★★☆

乙一さんの作品の売りはせつなさだと認識されていた(いる?)らしい。
その上で、GOTHはせつなくないという感想を読んで、作者は憂鬱になりGOTHは失敗だと思ったらしい。
の、だが、私は本としては今まで読んだ乙一さん物の中で1番すきだ。
単品では記憶が曖昧で断言出来ないけれど、でもこの本に収録されたどれもがかなり高順位であることは間違いない。
人間を処刑する道具や拷問の方法を知りたがり、殺人者の心を覗きこみ、人間の暗黒部分に惹かれるものを、GOTHという。
そんな、「僕」とクラスメートの森野夜がメインの短編連作。
事件の「外」の人で、だけどとにかく自ら渦中へ側へと進んで行く「僕」は
思考は飛んでいる筈なのに、悪趣味、なのにどこまでも冷静なものだから、何だか落ち着いてしまう。
6話中2話、「犬」と「声」に騙された。見事に。一人称のトリックはとてもスマートでカッコいい。
猟奇殺人、を扱っているのに澱んでないのが不思議で、透明に思えて、綺麗だった。2組出て来る姉妹の在り様も淋しくて、きゅう、って。
主人公の2人の違うお話も、読んでみたいなぁ。続編…出来たらば。
それから、失礼かもだが…あとがきに見る乙一さんのキャラは相変わらずどこか可愛くて
せつなさ、に対するコメントだとか、好印象だった。

角川書店 / 2007.12.02.



乙一

さみしさの周波数 / ★★★☆☆

2008年10月05日、再読。
透明なさみしいの詰まった短編集である。一部例外有。
未来予報 あした、晴れればいい。はどうしようもなくなる話その1。
お前らいつか結婚するぜと小学生の時に同級生に予言されて以来目を合わせることの出来なくなった男女の物語。
切ないというか、やるせないというか、どうしてそうなっちゃうの、ってなる展開が印象的だ。
読後感は悪くなくて澄んでいるけれどでもどうにも、どうしようもなくなる。
手を握る泥棒の物語は私的には例外であるさみしくない話。可愛くて微笑ましい、ラストの笑顔がすき。
フィルムの中の少女は映像の中の少女が段々振り返るというホラーでありながらこわくなく、やさしく、なっていく展開が素敵。
中盤は再読なのにまんまと騙された。
失はれた物語はどうしようもなくなる話その2。
事故で右腕の肘から先の感触以外、視覚も聴覚も何もかも失った男とその妻の、右腕の肘から先だけでの交流。
すごくやるせなくて痛々しくて絶望的で、だけどつらい、より、さみしい、が似合うのがどこまでも透明な印象を与えた。
余談だがあとがきのとぼけた語り口が、とてもすきだ。

角川スニーカー文庫 / 2006.02.04.



乙一

銃とチョコレート / ★★★☆☆

かつて子どもだったあなたと少年少女のための、な系列らしいけれど(この本が、ではなくてこのミステリーランドってシリーズ…?が)、
正しく少年少女のための、な印象。純朴で、小学校の低学年か中学年くらいの子たちがわくわくしながら読めそうな、感じ。
ラストで明かされる真実はずっと前の方から予想出来てはいたけれど少年と、探偵と、いい泥棒、なお話はとても可愛らしかった。
いぢめっこのドゥバイヨルが美形で切れ者で何だか強烈で、すきだった、かも。

ミステリーランド / 2008.06.02.



小野不由美

悪霊がいっぱい!? / ★★★☆☆

アニメに触発されて、念願の悪霊シリーズ第1巻。けどちょっと、弱かった…。見事に怖くない。
1巻はそんなに怖くないって話だったけれど、ここまで怖くないとは思わなかった。ちょっと、拍子抜け。
でも文章でみるメンバーは新鮮だったし、ぼーさんのキャラデザのアニメ・漫画とのあまりの差も面白く(笑)。
黒田女史が報われる、救われるのは意外だった。徹底的に落とされて終わると思っていたから。何だ、小野主上、優しいんだ、なんて。
麻衣の一人称も、特に後半、拗ね方が可愛くて良かった。微笑ましかった。
2巻は一気に怖くなったりするかな?と、怖いの得意じゃない癖におバカにも期待しつつ。

講談社X文庫 / 2007.04.25.



小野不由美

悪霊がホントにいっぱい! / ★★★☆☆

相変わらずの浮かれた“あたし”な一人称に、どんちゃん騒ぎなストーリー…不思議だ。とても不思議だ。
あとがきにハートマークとか書いてあるのも不思議だ。十二国記著者としての主上のイメージとのギャップが…。。
意外と親しみ易いお人柄?かもなのはドラマCDのあとがきとかでも知っていたのだけど。…慣れない;
そんなこんなで悪霊シリーズ第2巻、いよいよゴーストさんのお出ましである。真砂子がいい子だ。
性格悪いだの何だのあっても霊に対する姿勢が真摯で繊細で…とか思ったら普通の女の子?だったりもするのだけれど。
アニメでは彼女の前者なギャップにヤラレタのでした。かわゆい。
ホラーに人形ネタは付物だけど、前巻よりワンランク怖く、でもいきなりではない分安心、な反面
やっぱりちょっと物足りないかな…なんて怖い物知らずにも思ったり。
冒頭の口上(…?)が可愛くて鮮やかでとてもすき。文庫片手に渋谷に行って、SPR、うっかり探したくなってしまった。

講談社X文庫 / 2007.07.08.



小野不由美

悪霊がいっぱいで眠れない / ★★★☆☆

うーん、怖くない…。おかしいな。
あらすじ見ては大丈夫かなとビビり、ホラーだって別に読み慣れてない私、なのに何でこうも怖くないんだろう。
いやそりゃ、多少ゾクッとしたりはするが。天井から髪とか。下りて来るとか。マンホールの底の女の子とかね。
でもビビってた程のモノじゃなかった、な印象が拭えない。…鈍いのかなぁ…或いは想像力が足りない?
同じ小野主上の本でも、十二国の図南の鬼とかはかなりゾクゾクしたもんだが。
今回は学校で次々と起こる怪奇現象。発覚する麻衣の力。
相変わらず麻衣の男言葉が妙に可愛く、同年代の年相応さんとのやり取りも新鮮でやっぱり可愛かった。等身大っていいな。
珍しく困ったり焦ったりしてるナルもまた可愛くて良かった。真砂子は…へたれだった。そして読者には嫌われているらしい…。何故だ。
いやライバルで性格悪い(らしい)からだが。ご愛嬌、なのになー。大体悪霊シリーズに性格がいいと書かれるような奴はいないぞ。
あ、ジョンがいたか。…まあ、性格悪い言われててもみんな可愛いぞ。とか言っておく。って皆さんご存知か。
あとがきに見る主上にも大分慣れてきた。…つか可愛いな主上。ハートが、キャラがすげー。でもそれもまた、ご愛嬌(はぁと♪)

講談社X文庫 / 2007.09.06.



小野不由美

悪霊はひとりぼっち / ★★★☆☆

ちょっと、怖くなったかな。でもちょっと。何せ文章がお気楽だから。
けど、十二国やらの硬い文章で書き直されたりしたらかなり怖くなっちゃうのだろうか……ってことで、悪霊シリーズはこれでいい。
可愛さが、微笑ましさが売り。
今回は安原少年登場の巻。学校で蠱毒でわんこで坂内くん。
…にしても、みんな若いなぁ。綾子の推定23にびびった。うそん、下手したらこないだまで大学生?
中身も何だか若い気がする。後半の感情論な麻衣はもちろん、松山への対応とか。ナルや安原少年まで。
書き方が優しいせいかなぁ…あまり感情移入出来なかったから。
でもこれも、硬い文章でやられたら松山にもっとむかっと来て、すかっとする、とかしたのかも。…いや、でもなぁ。
無謀すぎる麻衣にも何故だと突っ込みたい。
けど、色々思いつつも嫌いじゃないんだ。よくわからないけれど。ふわふわと見ていられる。うん、楽しめている。
あとがきのイメージしている声、がベテランさん揃いで時の流れを感じた。
麻衣がめぐさん。ふむ。…原作の元気麻衣、ぴったりやも(笑)
ぼーさんは梁田さん。お?この方はドラマCD版の尚隆では?すきだよ梁田さんの尚隆v
ファンの方と文通紛いなことをしていたらしい事実に慄きつつ。…すげーな。

講談社X文庫 / 2007.10.30.



小野不由美

悪霊になりたくない! / ★★★☆☆

やって来ました浦戸屋敷。シリーズ中1番怖い、なんてうわさをきいたような。
えっと、鈍い私は今回も怖がらず(もういいの、これで)、お屋敷内部が想像出来ずに(ややこしいのだもの)あたふたしつつ
拗ねると男勝りな口調になる麻衣を微笑ましく見守って、読了。
ナルの秘密が見事なまでに煽られていて、ちょっとドキドキ。気になって来たぞ。
それからまどか嬢祝初登場。おめでとーぅ。ハートマークがこんなにも似合う人って中々いない。すきだぁー。
愛しの真砂子は未だ派手な活躍はないもののとってもヒロインな扱いで
ライバル、の位置付けなんだろうけれど麻衣が仲良くしようとしているのが和む。可愛い。
麻衣に憑いた?霊に話し掛けるシーンがすき。地味だけど楚々とした活躍。大和撫子!
…それにしても、昔…小学生の頃、漫画版は雑誌でちょっと読んだものの記憶はかなり曖昧で
つまり本作に興味を持つきっかけはアニメだった訳で、故に、タカと千秋センパイにナカナカ慣れません。
アニメではカット…じゃなかったっけ。違ったらゴメンナサイ。
私もSPRで雑用のバイトしたいなぁ、とか思いつつ。現場は怖いから事務所で。
んでたまに遊びに来る(遊びに違う)ぼーさんと安原少年と遊びたい。(だから遊ぶ違う)そして綾子に懐き、真砂子に萌えるのだー。

講談社X文庫 / 2007.11.14.



小野不由美

悪霊とよばないで / ★★★☆☆

麻衣と真砂子が麻衣曰くすっかり馴れ合うようになってしまった今巻。
何だかんだで麻衣のペースに巻き込まれて丸くなっちゃってる真砂子が可愛い。
共通の話題が愛しのナル坊の悪口…というか何というか、なのも微笑ましい。
ナルに関してはこの2人に限らずみんな本当言いたい放題してるけど何だか愛があってすきだ。
にしても、2人して本当に困った人に惚れたもんだよー。
でも真砂子が、ジョンはともかくぼーさんとか安原さんまでナルより中身は上、とか言い出した時はびっくりした。
中身は、なのがアレだが(笑)
そんなこんなで今回は吉見家、ナル抜きで頑張るメンバーたち。綾子初活躍でもって洞窟でおこぶさまで敵は神様。
私はやっぱりぼーさんがすきだなー。安原少年との漫才もすき。
とっても緊迫感のないとこと、何だかんだいつも1番体張って頑張ってくれちゃうとことか素敵だっ。

講談社X文庫 / 2007.12.18.



小野不由美

悪霊だってヘイキ!上 / ★★★☆☆

シリーズ完結編の第7巻。前巻のしっかり続き、な始まり方が新鮮。
ナルはその場所を見つけて、帰れと言われても勿論メンバーは帰らず、キャンプ場、ダム、…朽ち果てた校舎。
や、怖かった!今までのシリーズで1番怖かった!私には浦戸より怖かった!
怖かったって言う程のもんじゃないんだけど何かこう、こう、寒気が…!!
みんな1人ずつ消えて。残った麻衣は、ひとり。子供たちと共に、…ひとり。…怖い。とても怖い!!
だから最初ビビったラストの赤い光、と白い光…はすごく安心した。
スーパーマンなドリームナルちゃんより私的には何だかほう…って。守ってもらえてる、って麻衣に、はう、って。
にしても、前半はいつも通りだったのにな。やっぱり最終巻の気合だろうか。
愛しの真砂子はライバルな筈の麻衣に残れと言ったり。恋敵より同志みたいで良い。
愛しのぼーさんは相も変わらず頼もしかったり。
しかもリンさん以外で唯一まともにナルの秘密を何か知ってそう。知ってるっていうか、推理した??
真砂子はね、あんまり知ってるーって風には見えないんだ。私には。踏み込んでないから、だろうか?
とにかく、…本当に。ギャーギャー言いつつ仲良しなメンバーが、いつの間にか大すきだ。

講談社X文庫 / 2007.12.21.



小野不由美

悪霊だってヘイキ!下 / ★★★★☆

最終巻。上巻は星3.5かなと思いつつ切り捨てた0.5。今巻は星4つ付けちゃう!しっかり!付けちゃうっ!
上巻からの続き、子供たちの小鬼たちをヒロインらしい真っ直ぐさでまずは解決さして
そして物語は、本番へ(て言ったら言い方悪いけど…ページの配分的にねっ)。
ナルの秘密が一つずつ明らかになって、その鮮やかさにクラクラ。入念な伏線の回収がとても素敵。読み返したい。畜生図書館だ。
それから、彼が見つかって。一番の秘密。これは、ある程度想像がついていた。ちょっとした拍子にヒントを得てしまったから。
だけどそれでも、麻衣の反応が痛々しくて。
今まで、だからどう、まで考えもしなかったけど、そうか、そうだよな…って思い至って。だからこそラストの締めが潔くて、新鮮だった。
今までずっとお気楽極楽だったのに、こんな風に、少しだけちくん、って終わるんだって。でも何だかすごく透明な読後感。
色んなものが全部一緒こたになって、なのにどこまでも澄んだ印象。ラストも。何故かわからないけれど。
ぼーさんはやっぱり推理なさったのね!素敵っ。そして自分の首を締めたのね!そんなところも素敵!(笑)
すきすき言い合ってみたり、綾子にじゃれる麻衣&ぼーさんが物凄くすき。
即席名刺の交換だとか、真砂子の突飛な行動とにーっこりがたまらなくすき。いいな、微笑ましくって暖かくって笑えて和む。
…さて。……じゃあ続編、どうしようか?(汗)
一人称から離れて怖さ物凄くあーっぷ、だろうかと思うと竦む、けれど。…みんなにはまた逢いたい。……悩。

講談社X文庫 / 2007.12.22.



小野不由美

くらのかみ / ★★★☆☆

怖い話かと思ったら、そんなことはなかった。
四人ゲーム(死人あそび)で子供がいつの間にか増えたりしつつも、
夜中に井戸から釣瓶の軋む音がしたり嵌められて沼に沈みそうになったり、しつつも
多少は不気味なのだけど、件の座敷童子が無害なことも相俟って、微笑ましい、子供たちの犯人探しゲームな印象。
素朴な文章で読み易かった。

講談社 / 2008.05.29.



小野不由美

十二国記 月の影 影の海(上) / ★★★★☆

2007年06月05日、再読。
シンプルな文章は読みやすく、飾りっ気とは無縁なのに勢い付くと物凄い引力を発揮する。
一見堅そうなのに、冒頭は地味にゆっくりと、なのに、じわじわと浸蝕して何時の間にか一気読み、なシリーズである。
どこまでも救いようのないシリーズ第一作目。とにかく陽子は酷い目に合いっぱなしでラストなんて本当どうしようもない。
でもその厳しさに、ぬくぬくした現代っ子の私は惹かれ憧れる。
あそこまで報われなくてぼろぼろにされると、その徹底ぶりがいっそ気持ち良く思えて来る。
異世界連れ込まれ型ファンタジーだけれど、開けてみればハード。とにかくハード。どこまでもハード。甘えは悉く許されない。
読みやすさはやっぱりラノベだからかなと思いつつ褪せないその世界に没入した。

講談社X文庫 / 2003.10.17.



小野不由美

十二国記 月の影 影の海(下) / ★★★★☆

2007年06月07日、再読。
楽俊の登場で一気にラノベらしくなる下巻。
それでも物凄く甘くなる訳じゃないし、そりゃ王が立つまでの物語だから甘さを感じなくはないけれど
それまでの過程と、ラストシーンにはただただ感服。
最後の陽子のたった一言の台詞と、最後の最後に置かれた歴史書のような独特の1ページには何度読んでも鳥肌が立つ。
それまでを見事に華麗に昇華する締めの形はシリーズ全て本当に凄くて、恐れ入る。
会話が多くてもそう感じさせない芯の太さがすきだ。
いちいち濃くて単なる会話として流せるシーンが本当になくて、その、硬派さと
楽俊にはじまり尚隆やら六太やら果ては景麒までのラノベらしい微笑ましいやり取りと、バランスもとても良いのだろうと思う。
堅すぎず、軽すぎず。壮大で。どこまでも打ちのめしてくれるのに、希望はしっかりと息衝いていて。
一生を通して大事にしたいシリーズだと改めて思った。

講談社文庫 / 2003.10.24.



小野不由美

十二国記 風の海 迷宮の岸(上) / ★★★★☆

2007年06月09日、再読。
舞台は蓬山へ、一作目より昔のお話。
設定を元に語る上で、メインキャラを変えてしまって、でも昔景麒がいた場所はこういうところなのか、としっかり伝わる話運びが素敵。
前巻は、黒っぽい赤のイメージだった。ちょっと血なまぐさくて。強い。
対して今巻は水色を含んだ白のイメージ。透明感いっぱい、清く優しく純粋仕立て。どこまでも素直な泰麒が愛らしくて微笑ましい。
神秘的な一方で真理な感じのする汕子の誕生や麒麟のお母さん役のような女仙たちの陽気な可憐さ等々、すごく、きれい。
でもそれだけじゃなく、玉葉さまとか恫喝する禎衛がぴりりと効いていて、それもいい。特に後者には本当惚れ惚れする。くらっときた。
しかも禎衛、CVはめぐぅだった筈。覚えてないけれど。再読が終わったら、アニメ見直そうかなぁ。

講談社X文庫 / 2003.10.25.



小野不由美

十二国記 風の海 迷宮の岸(下) / ★★★★☆

2007年06月13日、再読。
苦もなくひたすら貪るように一気読み。自然にずっと入り込んでいられる本はやっぱりいいものだ。
泰麒の苦悩が痛々しく、結末を知っている分それをひとつひとつ読み進めていくのは何だか切ない。
白雉が鳴いたり、鳳が鳴いたり、瑞雲が伸びたり、泰王即位の浸透していく様がラストの締め同様鳥肌ものだった。
延主従のやりたい放題な様子も可愛くて微笑ましくていい。
泰麒の初めての折伏とか転変もまた凄い迫力で、相変わらずシンプルな文章に思えるのに、と改めて脱帽した。

講談社X文庫 / 2003.10.26.



小野不由美

十二国記 東の海神 西の滄海 / ★★★★☆

2007年06月18日、再読。
また一段とどんよりと深い暗い色を帯びてでもその分おまぬけもパワーアップした印象。やっぱり延主従はいいなぁ。
たくさん血が流れてる分重〜い気分になるけれど、その分、のんきな賢帝たる尚隆の器の大きさがとても眩しい。
更夜が痛々しくてつらそうで、彼が彼にとっての楽俊に早く会えたらいいのにとどこか見当違いなことを思ってしまう。
六太は、やっぱりちょっと違う訳でしょう。切ない。真君は今、何を思ってそこにいるのだろう、とか。図南での話だけれど。
ラストの一文と雁史邦書に見える尚隆の凄まじいまでの頑張りに泣きそうになった。
賢帝だよ!莫迦だけど!莫迦って付けないとこっ恥ずかしくて落ち着かないけど大すきだよ!!

講談社X文庫 / 2003.11.02.



小野不由美

十二国記 風の万里 黎明の空(上) / −−−

十二国記 風の万里 黎明の空(下) / −−−

十二国記 図南の翼 / −−−

十二国記 黄昏の岸 暁の天(上) / −−−

十二国記 黄昏の岸 暁の天(下) / −−−

十二国記 華胥の幽夢 / −−−

十二国記 外伝 魔性の子 / −−−



小野不由美

東亰異聞 / ★★★☆☆

小野さんの本が読みたくて、十二国以外ではじめてのチャレンジ。
ミステリー、になるのだろうか。怖くなかったことにはかなりほっとしたけれど、代わりに難しい。とにかく、難しい。ややこしい。
ティーンズで出ている十二国とは全然レベルが違う。
明治、の、トウケイ、のお話。江戸時代のような粋な世界と殺人者と喋る和人形。
このお人形が凄くすき。独特の歌舞伎のような言葉遣いが新鮮で可愛い。ちっとも不気味じゃない。
描写がさり気ないのに凄く鮮やかなのも素敵。
後半になってぐっと入りやすくなって、ラスト、いきなり明かされる主になっていた人物の真相には驚いた。
物凄いどんでん返し。脳の動きが一瞬、止まる。付いていけない。娯楽、ではあったと思うけれどやっぱり難しかった、と思う。
もっと理解出来るようになりたい。

新潮社 / 2007.02.09.



恩田 陸

Q&A / ★★★☆☆

大型ショッピングセンターで起こった原因不明で死傷者多数の集団パニック事件と、その真相と、周りの色々な人たちが受けた事件による変化や反応の物語。
問いと答えの会話形式で、それのみで展開するのが斬新な作品である。
問う側の台詞にかぎ括弧を使わないことを除けば地の文は全くないけれど、だからといって変な軽さには転ばないところがさすがだった。
事件の真相は、終盤という程でもないタイミングで明かされたせいか、読み終えた後であれが真相の全てだったのかと若干拍子抜けしてしまった。
締めは締めで、奇跡の子の真相が、真相そのものは良いと思うのだけれどそれをラストとするには盛り上がりに欠けた。
不可思議すぎる事件やその真相だとか、当たり前にいる普通の人たちの脆さ残酷さは、無情な感じで良かった。
何より、名前のない、或いはあってないような、沢山の登場人物たちの会話から真相に迫って行く作りがとても興味深かった。
それだけでも充分面白かったのだけれど、だからこそやっぱり少し残念だ。

幻冬舎 / 2011.09.18.



恩田 陸

禁じられた楽園 / ★★★☆☆

巨大なインスタレーションの集められたテーマパークのような山へ訪れ、
過去や本当を揺さぶられて、訳のわからないままに恐怖体験をしたりする話。
捷と律子は天才・烏山響一に招待されて、和繁と夏海は行方不明の淳を探す為に導かれるようにそこへ集められる。
怖さは控え目。それよりも現実離れしたインスタレーションと、そこで刺激される過去の負の思い出が凄くてすきだった。
纏め方があやふやだったのはあまりしっくり来なかったけれど、大半を占める幻想的でホラーで悪趣味で
作り物さがたまらない非現実感と、ひたすらの執念を感じるくらい書き込まれたそれらの様子に、いい意味でクラクラ、ゾクゾクした。
一瞬TVに映ったマークとか細かい部分の一つ一つにわくわくした一方で
根っこの部分がどうにも薄いというか弱く感じた為、4つ星にはならず。

徳間書店 / 2010.01.25.



恩田 陸

木洩れ日に泳ぐ魚 / ★★★☆☆

冒頭の掴みは良くなかった。人事みたいな語り口で始まるのは多分あまり好みでない。
短く区切られて彼と彼女が交互に語るのも、入り込むには時間が掛かる構成で
でも区切りが短い分淡々と着々と読み進めてしまい、気が付いたら絡め取られていた。
別々に生きて来て、実は双子だったと気付いたヒロとアキが一年前の父親の事故死の真相を引っ越し前夜に議論する話。
彼は彼女が父を殺したのだろうと疑い、彼女は彼が殺したのだろうと疑っている。
彼らが自分の子供であることを知らない父とガイドと客という形で一年前の旅で会ったことや
昔のことを回想しながらではあるものの、たった一晩の物語である。
だけど飽きは来なかったし、むしろ不意に挟まれるゾッとするに似たハッとする瞬間がとても素敵で掴まれた。
あやふやな記憶がちょっとしたきっかけでくっきり浮かび上がる度ドキッとする。思わせぶりな書き方をされるから尚更だった。
散々悩んで腹の探り合いをした結果訪れたのは笑い飛ばすにはつらい喜劇だ。
回想以外ほぼ常に一室にしかいないからか殆ど彼と彼女しか登場人物のいない舞台のようだと思った。

中央公論新社 / 2010.09.15.



恩田 陸

チョコレートコスモス / ★★★★☆

大学1年生で芝居を始めたばかりの佐々木飛鳥の稀有な才能と
その周りで掻き回されるアマチュアの劇団員や脚本家や女優たちの話。
特殊すぎて天才なのかただの電波なのか単なるビギナーズラックなのか、な飛鳥の
自然で圧倒的な芝居の描写が素敵だった。
学生劇団の旗揚げ公演でのオリジナル芝居の飛鳥には1回目でゾッとして、2回目で更にゾッとして
異様な空気感が本当濃密で凄く持っていかれた。
続く2人で3人を演じるオーディションでは久しぶりにどっぷり浸かり込んでしまって
終いには読みながらキャパオーバー起こしたみたいに泣きそうになった。
感動したとかそういう次元ですらない、圧倒的な力に文字通り圧倒されて
身体が内側からぼあぼあ膨らむみたいにあまりの濃さにぼんやりしちゃって、それがでも心地好かった。
私はそういう人を知らないから中年男も中年女も難なく演じられるとか何事と思わなくもないけれど
だからファンタジーだと感じる一方で、活字ならではの説得力で受け入れられたこともまた心地好かった。
ラストのオーディションはそれや直前の葉月の芝居の熱に既にやられていたからかあまり響かなくて残念。
多分1番大事なところだったのに。
作中にあるようにレベルが高すぎて理解出来なかったのかもしれないけれど、
私は万人に凄さが伝わるタイプの方が役者として好ましいと思う。葉月は本当に素晴らしかった。
真似から始まった飛鳥の、真似で終わらないところが凄まじくて
今の段階では結局はこれまでに見たものの継ぎ接ぎでしかないのかもしれないけれど
でもそれらを思い出してのものでも、何もないところから生み出す様はやっぱり驚異だった。
500ページを越える長篇なのに読み易さは勿論引力がとても強くて本当にあっという間だった。
貪るように読める厚いハードカバー本って読みながらもうそれだけでもわくわくして嬉しくなっちゃう。
何かもう幸せだった。恩田さん、やっぱりいいなあ。

毎日新聞社 / 2010.01.12.



恩田 陸

月の裏側 / ★★★☆☆

堀に囲まれた箭納倉を舞台に水の形のそれに盗まれてゆく人たち。
行方不明になった人が数日後、その数日間の記憶をなくした状態で戻って来る。その時にはもう、乗っ取られて、いる。
SFホラー、かな?猫の白雨が囓り取って来た偽の指や耳の描写に慄いた。
どう終わるのだろうと、普段はそういうことあまり気にしないのだけれど
作中の映画の結末云々の文章につられて考え考え読み進めてみたりもした。でも予想なんてとても出来なかった。
それで肝心の実際のラストはといえば、…ちょっと、物足りなかった。
エピローグ的な]Xの藍子目線の文章は興味深くて引き込まれたけれど、物語の締めとしての]Xは、いまいちしっくり来ない、感じ。
全体の水に囲まれた田舎模様な雰囲気は趣があって結構すきだった。

幻冬舎 / 2007.07.30.



恩田 陸

不連続の世界 / ★★★☆☆

月の裏側刊行後に書かれた、塚崎多聞の中編を纏めた本。
月の〜は柳川とタイトルは覚えているものの具体的な記憶が薄い為
続編、番外編というよりは単発のミステリ寄りなちょっぴり怖い話集、として楽しんだ。
木守り男、は樹上に浮かぶ骸骨のような男を見る話。妖怪の類っぽいのかな?
空襲の前に見た話含めその存在が地味に強烈でメインの話の筋がすぐに印象から消えてしまった。
悪魔を憐れむ歌、はきくと死にたくなる歌の噂の歌い手を探す話。
オチに某歌姫キャラクターを連想した。手動じゃ尚更大変だったろうなあ。
幻影キネマ、はバンド青年と昔のトラウマの話。多分いちばん怖い。キーワードがその時点で地味に来る。
でもこの本の中では、程度で変に後を引かなかったのは良かった。
砂丘ピクニック、は消えた砂丘と消えたお客の謎な話。後者の舞台の雰囲気が素敵だった。
これといって特別な訳ではないのだけれど、美術館ってそれだけでキラキラなのかも。
夜明けのガスパール、は夜行列車で怪談をする男たちと無言電話の話。
腫瘍から髪の毛、に慄きつつ、失踪した多聞の奥さんの話の真相で一気に掴まれた。
これまでの単発然としたエピソードから一転、
いきなり長編のいちばん大事な部分、みたいな真実の明かされ方をされて、びっくりするやら嬉しいやらだった。
これくらい派手で強いエピソードがやっぱりすき。これのみ単品なら4つ星だと思った。

幻冬舎 / 2010.03.11.



恩田 陸

図書室の海 / ★★★☆☆

表題作が有名な小夜子の番外編、ってことで、多少迷ったけれど借りちゃった。
夜のピクニックの番外編も入っていてびっくり。どっちも元の長編の方は未読だから何だか気になる。
短編集、である。独立したお話が全10篇。気に入ったのは睡蓮。
麦の海に沈む果実、の登場人物の幼年時代の話らしいけれど単品でもとても良かった。
怪しげで生々しくて妖艶。けどいやらしくなくて、どこか純粋。だから抵抗なく自然に読めた。
桜の下には死体が、と同じように、睡蓮の下にはきれいな女の子が埋まっている。暗い冷たい、ぬるぬるした泥の中に沈んだ女の子。
桜の木の下、つまりは土の下の死体、よりずっと凄まじい、それ。
お話は、一緒に集録されている他の短編の多くと同じく、その上番外的だから多分余計に、ややこしいのだけど、妙に惹かれた。

新潮社 / 2007.02.19.



恩田 陸

ドミノ / ★★★☆☆

壮大、なのだけれど壮大というよりしょーもない印象の群像劇。
大変な爆弾が人の手から人の手へ、なのに、まぬけでけろっとした登場人物たちがわからなくもないが、とてもしょーもない。
いけないかもと思いつつ微笑ましい。
最初はバラバラだったピースがカタカタと倒れて纏まって行く様は軽快で、その勢いが楽しかった。
ラストはちょっとブラック。悪趣味な、と思わないこともないけれど面白かったからいっかな。

角川書店 / 2007.08.19.



恩田 陸

中庭の出来事 / ★★★★☆

ややこしい話。些か複雑すぎるくらいの、お芝居の話。
何重にも重なったピースのひとつひとつがラスト、ぴったり在るべき場所に収まるのがとても爽快だった。
それまでずっとくるくる翻弄されて、かなりの終盤、やっとわかったと思ったら更に展開が待っていて。美味しいなぁ。
普通の小説としての文章と、度々挿入される所謂劇中劇的な脚本と最初は区別されていたものが段々ごっちゃになって混ざっていって
混乱して、でもそれが全く不快じゃなかった。むしろやたらわくわくした。素敵。
脚本部分も唯一まともに読んだことのある古典の戯曲と比べてとても読み易かったし、想像し易かった。
桜の園、ロミオとジュリエット、奇跡の人、と出て来た舞台の中、個人的には真夏の夜の夢がやたら鮮やかな気がして気になった。
お芝居の話は、やっぱりすきだな。すきな分、危ないとも思うのだけれど
恩田さん作品は、お芝居ネタって度々扱われているけれど変に引っ掛かることなく読めていて、幸せ。

新潮社 / 2008.03.04.



恩田 陸

夏の名残りの薔薇 / ★★★☆☆

難解だった…でも引力も強かった。両方、って不思議。
難しかったのは、これがなくちゃ夏の名残りの薔薇じゃない、って感じだけれど引用の「去年マリエンバートで」だ。
原作でもシナリオでもない、シネ・ロマンというものらしいが
そのシナリオ調に近い文章は、最後まで読み終えた今でもまだ飲み込めていない。
柩に似た柱時計のあるクラシカルなホテル。舞台のようなホテル。外は嵐。
登場人物はグロテスクな嘘の話を仲良く語る伊茅子、丹伽子、未州子の三姉妹と招待されたお客たち。
くるくると視点が変わっていって、最後にはどれが真実なのかすらわからなくなる。
読者を煙に巻いたような話だと感じたけれど、不快感はなかった。むしろミステリアス。喜んで踊らされよう。
全体に流れるクラシカルでセピアな雰囲気がすきだった。

文藝春秋 / 2007.09.27.



恩田 陸

ネクロポリス 上 / ★★★★☆

最初は章タイトルに登場人物リストに冒頭と、どこか戯曲めいてとても取っ付きにくい印象だった。
状況説明一切なしでいきなり放り込まれてしまうのも一因となっていると思う。
でも少し慣れるとそれまでが嘘みたいに読み易くなってびっくりした。
大学院生のジュンが訪れるアナザー・ヒル。ヒガンに、亡くなった方々がお客さんとして文字通り帰って、来る場所。
不思議な単語は日本語が変化した形だとジュンは気付くし
血塗れジャックが紛れ込んだのか外で起こったのと似たタイプの殺人事件が幾つか起こって
犯人を探す為に行う、嘘を見抜く精霊の儀式だとか、現実と地続きに思えたり、全くのファンタジーなのかと悩んだり。
私が無知だからなのだけれど、恩田さん作品だなあと感じた。
グロテスクさも併せ持って、でもどこまでも幻想的で
けど先の見えない霧に包まれたような描写、とファンタジーでミステリー、な雰囲気はやっぱり素敵だった。

朝日新聞社 / 2007.11.17.



恩田 陸

ネクロポリス 下 / ★★★★☆

ややこしかった…。アナザー・ヒルの融合から先の急展開が特に。付いて行けずに右往左往。
文章そのものはとても読み易いものなのに語られる内容が難解すぎる。
双子や血塗れジャックの真相はまだしも、ジュンの一世一代の演説とか博識すぎて。わからない。。
かごめかごめとか八咫烏とか、小道具にゾッとしつつ不吉なエピローグにもうわーってなりつつ
ミステリだけれどホラーなのかな、な印象。物凄く怖いって感じではなかったけれど、不気味さはかなりあった。
ラインマンとか黒婦人を始めとする方々の不思議な魅力と、それとは逆に、ハナたちの等身大の可愛さと、どちらもとても好ましかった。

朝日新聞社 / 2007.11.21.



恩田 陸

ねじの回転 FEBRUARY MOMENT / ★★★☆☆

…難しかった。べらぼうに難しかった。。
昭和維新の、IFの話。最初は硬派すぎてちんぷんかんぷん。ある程度まとめて読むと少しずつ物語として楽しめるようになってくる。
キティの事件辺りから大分分かり易くなった。それまでは大変だった。
相変わらず歴史ものは、無知故にどこまでフィクションなのかも判断出来ないような奴なのだけれど
几帳面に確定していかなきゃいけないタイムトラベルって面には
同調出来たし、度々登場するゾッとするシーンも過剰にならない程度の寒気が良い感じだった。

集英社 / 2008.05.25.



恩田 陸

ネバーランド / ★★★☆☆

クリスマス・イヴから元日の朝までの、松籟館に残ることにした男子高校生3人+度々訪れる1人の子供だけな日々。
松籟館とは、田舎の伝統ある男子校の一角を占める古い寮である。
主人公の美国と、寛司、光浩、統の何気ないやり取りのほのぼのとした素朴な雰囲気が安心出来て良かった。
光浩の凄まじい過去がずしんと重みを添えつつ、寛司の本気とも冗談ともつかない美国へと迫る様子が微笑ましくて可愛い。
第四日の寛司の離婚調停中の両親が突然松籟館へ来るエピソードがいちばんすきだった。
ギスギスしたり微妙な気遣いが暗くなりそうなところを、寛司以外の3人の2人への対応が
ビールを薦めたりホットプレート上のものを焼けてますよって薦めたりでいやな空気が抜けて可愛くて、良かった。
上手いなあ、高校生。格好いい。

集英社 / 2008.12.08.



恩田 陸

光の帝国 常野物語 / ★★★☆☆

10作からなる、短編連作。基本的に現代を舞台に、不思議な力を持った常野一族の関わって来る話が次々と語られる。
力はファンタジーというよりはSFの色が濃くて、硬派な印象。
頑張るお母さんなオセロ・ゲーム、文体の可愛い手紙、には引き込まれたし
ツル先生の基本を語った光の帝国、亜希子覚醒の黒い塔の描写は本当に痛いくらい凄まじい。
いちばんすきなのは、最後の、国道を降りて…だ。
楽器と演奏家、っていう組み合わせが、セットになるのは当たり前だと分かりつつもやっぱり魅力的で
綺麗で、華やかで純粋で、良かった。
私は全然、ちょっと齧ったくらいで腕なんて本当ないけれどやっぱり音楽っていいなあ、なんて分かったようなことを思ってしまった。

集英社 / 2007.03.19.



恩田 陸

訪問者 / ★★★☆☆

山中にひっそりと佇む古い洋館で、次々と来客を告げるベルが鳴る。
訪問者に気を付けろという警告文の届いていたその洋館で、急死した映画監督峠昌彦の遺言が公開され、
彼の死の謎や彼を育てた朝霞千沙子の不審死の謎、冬雷の鳴る屋外で発見された男の死体の謎に迫る物語。
それぞれが役割を踊っただけというか、感情移入も何も出来ないまま
あまり良い意味でなく舞台的な展開や描写も相俟ってひたすらお客様のまま、終わってしまったような印象を受けた。
何というか、小説らしくない作品のように思う。基本的に淡々とした会話で進んでいたような印象も強い。
舞台のように台詞を掛け合っている様子は想像出来たけれど、それは要は作り物っぽさを感じてしまったということだ。
洋館に住む千沙子の兄妹が揃って老人なせいか唯一妹である千恵子以外いまいち掴めなかった。
途中から参加する劇団員の小野寺は若いしわかり易く個性があるけれど、妙に馴染まないというか、好感を持てなかった。
登場人物にもう少し魅力を感じられたら良かったのだけれど、硬派なミステリはこういうものかな。
唯一子供である愛華の容姿を、美少女とは言い難いとわざわざ一度ならず書く意味がわからなかった。
ファニーフェイスである種の魅力があるともあるけれど、そのフォローからして違和感があったししっくり来なかった。
ここはそれこそ記号的に単なる子供で良いと思うのだけれど。

祥伝社 / 2011.02.27.



恩田 陸

まひるの月を追いかけて / ★★★☆☆

最近の私の気分的なもののせいやもだけれど、いまいち入り込めず印象にも残らず、な話だった。
行方不明の腹違いの兄・研吾を探してまずは優佳利と、それから妙子と、奈良へ旅に出た静の話。
優佳利と妙子と研吾、が綺麗に出来上がった完成した三角形で、最後の最後まで語り手の静は本人も言っているけれど観客的だった。
敢えてそれぞれの日常を書かずにラストまで突っ切った所が不思議。その分感情移入はしにくかったけれど独特の味になっている感じ。
お寺とか入り組んだ道とかの描写が瑞々しくてすきだった。

文藝春秋 / 2008.04.25.



恩田 陸

麦の海に沈む果実 / ★★★★★

隔離された幻想的な学園、起こる殺人、それでも続く普段通りの生活。出て行くことは出来ない。
ミステリーの側面を持った、どこかダークなファンタジーだと思った。凄く現実離れしているファンタジー、ではないけれど。
でも神秘的で、やっぱり私にとってはミステリーっていうよりファンタジー、だ。
濃くて、でも読みやすくて、焦らされて感じるのとは違う引力がとても心地良かった。
湿原に建つ中高一貫校。親元を離れてそこに暮らす弱さを抱えた子供たちに、全てを覆い尽くす黒。
なのに基本は変わらない和やかな日常。理瀬の感じるたくさんの違和感。
降霊会のシーンが、霊媒の気持ち、って、その最中の理瀬の心境が新鮮で興味深い反面凄く怖くてぞわぞわきた。
前に、先に読んじゃった、短編集の理瀬の昔の話が改めて読みたくなった。ちょっと久しぶりのかなりの当たり!!

講談社 / 2007.04.16.



恩田 陸

黄昏の百合の骨 / ★★★★☆

今までに読んだ恩田さん作品の何作かで主役を張っていた水野理瀬を軸に、今回は、16歳…?らしき理瀬。
最初は色んなことが訳のわからないままに語られて難しかったけれど
憂理や黎二の名前に誘われるみたいに段々と、女装パパの存在でしっかりと、あの学園を思い出したりして、後半はとても引き込まれた。
血の繋がらない叔母の梨南子と梨耶子と元々おばあちゃんの家だった白百合荘で暮らす理瀬。
従兄弟の稔と共犯者のような会話を交わし、その際、除け者のもう1人の従兄弟は光の中。亘。幼少時代の番外編をうっすらと思い出す。
最後の最後のどんでん返しに驚いた。すっかり丸め込まれていたから…。その前の豹変もショックだったけれど。
水野理瀬、のシリーズをまたまとめて読みたくなった。

講談社 / 2007.10.22.



恩田 陸

黒と茶の幻想 / ★★★☆☆

Y島に旅行に来た4人が、登山の中で美しい謎を解明していく。登場人物たちはずっと年上だけれど、遠い感じはしなかった。
話の核になっているようななっていないような、とにかく存在感の凄まじい憂理が印象的。
お芝居の人で、男の人が苦手で、音信不通で。激情が美しくて鮮やかで、どこまでも純粋で、私は本当にああいうタイプに弱い。
一人芝居のシーンもやたらドキドキした。お芝居のシーンは、やっぱり贔屓しちゃうのかも。
全体的に淡々としていた分、憂理が出て来ると途端に目まぐるしくなるようで、そういう意味でも、惹かれた。
島の自然、緑、荘厳な様子は癒しと同時に凄まじくて、でもやっぱりマイナスイオンをとても感じたなと読み終わった今、思う。
綺麗だった。登山に拘り続けることで生まれた空気に、リフレッシュさせてもらったのかも。

講談社 / 2007.06.26.



恩田 陸

MAZE[めいず] / ★★★☆☆

精悍な男なのに女言葉の神原恵弥の登場する話、これが第一作目かな…?
何もない平原にでっかい真っ白の建物、通称『豆腐』。
『存在しない場所』『有り得ぬ場所』と呼ばれるそこでは、中に入ると人間が忽然と姿を消してしまう。
主人公の時枝満は恵弥にそこへ連れて来られて安楽椅子探偵になる命を受ける。
ホラーっぽい描写もあるもののそんなに怖くはなくて、ひたすらミステリアスに進む。
謎は一部謎のまま終わってしまったけれどだから、という訳じゃなく何となく物足りない印象を受けた。
文章はむしろ鮮やかなのだけれど、全体の雰囲気はとても淡々としていたと思う。2.5寄りの3つ星。

双葉社 / 2008.06.16.



恩田 陸

クレオパトラの夢 / ★★★★☆

恩田さんの本は、一度読んでみたいなと前々から思っていた。
最初に知ったタイトルは有名な小夜子だったけれど、それは貸出中だった為これをチョイス。面白かった!
軽いんだか重いんだかよくわからないミステリー。
や、内容(?)は重いのだけど…あんまり重い感じがしない、というか。堅苦しくなくて入りやすかった。
推理とか興味なかったけど、飽きずにどんどん読み進められたし。一方通行じゃない謎がいい。置いて行かれなくてほ。
何より良かったのは、きっと恵弥のキャラだ。
二枚目な素敵さんで、謎な男…しかし女言葉。凄く魅力的ですぐにそのペースに引き込まれる。
実はシリーズ物で、しかもこれは2作目らしい。…1作目も読まなければっ。

双葉社 / 2007.01.19.



恩田 陸

木曜組曲 / ★★★☆☆

冒頭のたけくらべの引用が難しくて大丈夫だろうかと少し心配したけれど、後半に行くにつれてしっかりと読めてほっとした。
四年前の重松時子の死の真相を5人の物書きが回想して推理して、自らを追い詰めるような方へと進んでいく。
時子がすきだった木曜日にひたすら拘ったまとまり毎のタイトル付けに沿って、秘密や内緒がどんどん明らかになってゆく。
人間、本当わかんないなぁ…。どれだけ近いつもりでいても、だ。
ラストがまた、王道でもありそうだけれど印象的だった。手の平で転がしつつ、でも運命とか真実とかいうものに転がされつつ。
つかさがボーイッシュで可愛かった。…大人相手に可愛い、もないかもだけれど。

徳間書店 / 2007.07.22.



恩田 陸

ライオンハート / ★★★☆☆

難解な作品だった。とても。
最初は取っ付き辛そうで、入り始めるとスピーディーで
だけど最終的にはくるくる回るストーリーに翻弄され尽した後何もわからないと思い知る。
もちろん、読む人が読めば深い物語としてしっかり汲み取れるのかもしれないけれど。でもわからないなりに、楽しめた。
時間を越えて空間を越えて何度も巡り逢うエドワードとエリザベス。同じ人で、違う人で。それらを絵画に絡めて描いたSF連作、である。
たまにゾクッと来る。何故かわからない現実、に。
実在する人物や実際にあった出来事に絡めたストーリーは何となくちょっと居心地が悪くなった。
戦争の描写も痛かった。ちいさなエリザベス目線では、特に。

新潮社 / 2007.09.03.



恩田 陸

六番目の小夜子 / ★★★☆☆

ドラマ化もしていたし、見てはいなかったけれど簡単な粗筋くらいは知っていた。
解説にはホラーだの怖いだのとあるけれど私的には全く怖くはなかった。
クライマックスの描写は別の意味で怖かったけれど、ホラーだとは感じられなかった。その点は、安心した反面、少し拍子抜けでもある。
学園ものとしての物語はちゃんと楽しめたと思う。
何となく、どこかライトノベル的だけれど学園祭のお芝居(?)のシーンは緊迫感があって良かった。どことなく透明な雰囲気も好感。
ただ、ミステリーとしては、ラストがいまいちすっきりしなくてそれで一気に消化不良…。悪くはないんだけどなぁ。

新潮社 / 2007.03.08.



恩田 陸

象と耳鳴り / ★★★☆☆

全12編、六番目の小夜子で主人公の父親として登場した関根多佳雄を主人公として軸に置いたミステリ。短編集である。
多佳雄氏と、息子の春とのシーンが、どれも微笑ましくて良かった。
話としては給水塔、表題作、ニューメキシコの月、廃園、机上の論理、魔術師、がすき、かな。
表題作は、「針が思い思いの時刻を指したまま止まっている古い柱時計の群に覆われた壁」なんていう冒頭の描写でもうノックアウト。
骨董品のような。異世界のようなファンタジー。舞台は現代だけれど、それだけで陶酔した。

祥伝社 / 2007.10.14.



恩田 陸

ロミオとロミオは永遠に / ★★★★☆

久しぶりに、かなり疲れる本だった。舞台は近未来、日本しかなくなった荒れ果てた地球の大東京学園。
学園物、だけれどそこで繰り広げられるのは卒業総代を目指す歪なサバイバル。
月一で行われるクラス替えを伴った実力テストに地雷原と背筋の寒くなるような描写の連続には本当疲れた。
それでも次から次へと惹き付けて離さない文章はさすが。
昭和(?)の香り漂うアングラは読者にとっても束の間の息抜きだと思う。ナタデココ、とか可愛かった。
男子校だけれど女の子言葉で話すアタミには和むし、紅一点なキョウコも入りやすい子。ラスト間際までは怒涛の展開で凄く楽しめた。
だからこそ、エピローグがわからない。
私の想像力、読解力じゃ少なくとも初読では何が何やら…。何か、納得いかない為星一つマイナス。
それにしても、ディズニーランドの扱いはすごかった…。

早川書房 / 2007.04.29.



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